健康コラム

公開日

2026.10.23

更新日

2026.10.21

総合診療

大腸がんは遺伝する?家族歴がある人・ない人が気をつけること 

こんにちは!リベ大総合クリニック大阪院 院長の大岩です。

🌀 親が大腸がんだった。自分にも遺伝しているのかな… 

🌀 健診の便潜血が陽性だった。痔のせいかな? 

🌀 うちは家族に誰もいないから、大腸がんは関係ないよね?


こうした声は、診察室でもよくお聞きします。


大腸がんの多くは、親から直接受け継ぐものではありません。ただ、ご家族に大腸がんの方がいるなら、検査を少し早めに受けておいたほうがよい場合があります。そして、家族歴があってもなくても、検診を受けておくことが大切です。


今回のコラムでは、家族歴があるときに確認したいことと、検診を受けるときに知っておきたいことを、一緒に見ていきましょう。

🔸 まず知っておきたい:大腸がんと遺伝の関係

米国国立がん研究所(NCI)は、大腸がんと遺伝の関係を、次のような数字で示しています。

多くは、遺伝とは関係なく起きている

大腸がんの約75%は、親から受け継いだ遺伝子の変化が明らかではない「散発性」とされています。


ご家族にも大腸がんの方がいるケースは、10〜30%とされています。ただし、家族に大腸がんの方がいることと、遺伝が原因であることは同じではありません。家族で共有している食生活や喫煙習慣が関係している場合もあるからです。


原因となる遺伝子の変化が検査で確認されたものは「遺伝性大腸がん」と呼ばれ、全体の約5〜6%と推定されています。リンチ症候群や家族性大腸腺腫症(かぞくせいだいちょうせんしゅしょう)がその代表です。


ご家族に大腸がんの方がいても、遺伝子の変化が見つからないことはあります。反対に、遺伝性大腸がんであっても、ご家族が少ない、家族の病歴を把握していないなどの理由で、家族歴が確認できないこともあります。

大腸がんと遺伝の関係を示す図解。約75%は受け継いだ遺伝子の変化が明らかではない散発性、10〜30%は家族にも大腸がんの方がいるケース、別の分け方として検査で原因の遺伝子の変化が確認された遺伝性大腸がんは約5〜6%。3つの数字は分け方が違うため足し算にはならない。

家族歴があるときは、検査を早めに

それでも、家族歴は大切な情報です。親・きょうだい・子どもといった一親等の家族に大腸がんの方がいる場合、リスクは家族歴のない方のおおむね2〜3倍と報告されています。2〜3倍だからといって、大腸がんになると決まったわけではありません。ただ、検査を早めに始めるかどうかを考えるときの目安にはなります。


家族歴のない方は40歳からが検診の目安ですが、ご家族に大腸がんの方がいる場合は、それより前から検査を始めるようお伝えしています。どのくらい早めるかは、次の章でお話しします。

 🔸 大切なのは、ご家族が「何歳で」診断されたか

同じ「家族に大腸がんの人がいる」でも、70代で診断された場合と、40代で診断された場合では、検査の考え方が変わってきます。

確認しておきたい3つのこと

ご家族に大腸がんの方がいる場合は、分かる範囲で次の3点を確認してみてください。


◻︎ 何歳で大腸がんと診断されたか 

◻︎ 大腸ポリープが多数あると言われていなかったか 

◻︎ 他の親族に、大腸がんや他のがんの方がいないか


上の3つのうち、ご家族が50歳未満で診断されていた、大腸がんの方が近親者に2人以上いる、ポリープが多数あったと言われていた、のどれかに当てはまるときは、遺伝性の大腸がんの可能性も含めて、一度ご相談いただくと安心です。


見落とされやすいのが、大腸以外のがんです。遺伝性大腸がんの代表であるリンチ症候群は、大腸だけでなく、子宮体がん、卵巣がん、胃がん、小腸がん、尿管や腎盂(じんう)のがんが家系内にみられることがあります。「若くして子宮体がんになった親族が複数いる」という情報も、受診のときにぜひ教えてくださいね。

検査を始める年齢の考え方

米国消化器病学会(ACG)のガイドラインでは、目安を次のように示しています。

✅ 親・きょうだい・子どもが60歳になる前に大腸がん(または、がんになりやすいポリープ)と診断された場合、大腸内視鏡を始めるのは「40歳」か「その家族が診断された年齢の10年前」の早い方

たとえばお父さまが45歳で診断されていれば、35歳が目安になります。

家族歴がある方が検査を早めに始める考え方を示す図解。年齢の目盛りの上で、お父さまが45歳で大腸がんと診断された場合、その10年前にあたる35歳からご本人が大腸カメラを始める例を示している。家族歴がない方の目安は40歳。「40歳」と「家族の診断年齢の10年前」の早いほうが目安(米国消化器病学会の考え方

ただし、これは米国の目安です。日本の検診には、家族歴に応じた開始年齢の決まりがありません。そのため当院では、ご家族の診断年齢や過去の検査結果をもとに、大腸カメラを始める年齢を一人ひとり相談して決めています。

🔸 家族歴がない方にも、検診をおすすめする理由

大腸がん患者さんの10〜30%には、家族に大腸がんの方がいるなど、家族歴がみられます。 

 ただし、家族歴が確認できない方にも大腸がんは起こります。家族に大腸がんの方がいなくても、年齢に応じた検診を受けることが大切です。

理由① 早期の大腸がんには、ほとんど症状がない

早期の大腸がんには、自覚症状がほとんどないのが特徴です。そのため、体調がよいときでも、検診で確かめておくことが大切です。 

理由② ポリープの段階で見つければ、がんを防げることも

多くの大腸がんは、良性のポリープ(腺腫)が時間をかけてがんに変わる経路をたどるとされています。大腸内視鏡でポリープの段階に見つけて切除できれば、がんそのものを防げる可能性があります。

理由③ 便潜血検査は、負担が小さい

日本では、40歳以上の方に年1回の便潜血検査が勧められています。自宅で便を採って提出する検査で、食事制限もありません。

家族歴がない方も、まずは自治体などの案内に従って、定期的に検診を受けましょう。

🔸 便潜血検査で「陽性」と言われたら

陽性と言われたら、大腸内視鏡(大腸カメラ)を受けましょう。忙しくて、そのままにしてしまう方も少なくありません。

便潜血検査が陽性だったときの考え方を示す図解。2日のうち1日だけ陽性、痔があるからそのせいかも、忙しくてあとまわし、のどの場合も大腸カメラで確かめる。結果が届いたらなるべく早めに

1日だけ陽性でも、大腸カメラを

現在の検診は、2日分の便を調べる「2回法」が主流です。このうち1日だけ陽性だった場合も、日本消化器内視鏡学会は大腸内視鏡を受けることを強く推奨しています。がんやポリープからの出血は毎回あるとは限らないので、もう1日が陰性だったからといって、安心とは言い切れません。


実際に、1日だけ陽性だった方を調べた研究では、約1%に大腸がんが、約20%に10mm以上のポリープが見つかっています。

痔があるときも、原因を確かめておくと安心

痔がある方は、便潜血検査で陽性と言われても「痔のせいかもしれない」と迷いやすいですよね。ただ、便潜血検査だけでは、痔の出血か、ポリープやがんの出血かを見分けるのは難しいとされています。痔かどうかも含めて、内視鏡で一度確かめておくと安心です。 


米国の研究では、便潜血検査陽性から10か月以上たって内視鏡を受けた方は、進行した状態で見つかる割合が高かったと報告されています。陽性の結果が届いたら、なるべく早めにご相談ください。


当院の大腸カメラでは、検査結果を当日に医師からご説明します。切除できるポリープはその場で切除し、組織検査の結果は「デジスマ」アプリでお知らせするので、再来院は必要ありません。 

▶︎ 当院の大腸カメラ検査について詳しくはこちら 

🔸 よくある質問

Q. 家族が何歳で大腸がんになったか分かりません。

A. 分かる範囲で大丈夫です。ご家族に確認できるなら、診断されたときの年齢だけでも聞いてみてください。難しい場合も、家族歴があることだけ伝えていただければ、検査の時期を一緒に考えます。

Q. 遺伝子検査は受けたほうがいいですか?

A. 家族歴があるすべての方に必要とは限りません。若くして大腸がんになった家族がいる、近親者に大腸がんや子宮体がんの方が複数いるといった場合は、大学病院などの遺伝相談外来で、検査が必要かどうかを含めて相談できます。

🔸 まとめ|家族歴があってもなくても、まずは検診から

大腸がんは、遺伝だけで決まる病気ではありません。家族歴がなくてもかかる可能性はありますし、家族歴があっても必ずなるわけではないのです。


まだ検診を受けていない方は、便潜血検査から始めてみましょう。気になる症状があるときは、検診の結果や年齢を待たず、受診を優先してくださいね。


当院では、大腸がんの家族歴がある方や、便潜血検査で陽性になった方のご相談をお受けしています。健診の結果と、分かる範囲の家族歴をお持ちいただけるとスムーズです。


▶【大阪市西大橋駅すぐ】ご相談はこちらから


みなさんが元気で、ご機嫌な毎日を過ごせるよう、お手伝いします。 

では、次回のコラムもお楽しみに!


▼関連コラム 

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参考文献

  1. Genetics of Colorectal Cancer (PDQ®) Health Professional Version(米国国立がん研究所/NCI)

  2. ACG Clinical Guidelines: Colorectal Cancer Screening 2021(米国消化器病学会/ACG)

  3. 大腸がん(結腸がん・直腸がん)について(国立がん研究センター がん情報サービス)

  4. 有効性評価に基づく大腸がん検診ガイドライン 2024年度版(国立がん研究センター)

  5. 「有効性評価に基づく大腸がん検診ガイドライン」2024年度版公開 2024年11月27日(国立がん研究センター プレスリリース)

  6. 第46回 がん検診のあり方に関する検討会 議事録 2026年3月23日(厚生労働省)

  7.  便潜血検査で「1回だけ陽性」と言われました。内視鏡検査は受けたほうがいいのでしょうか?(日本消化器内視鏡学会)

  8. Association Between Time to Colonoscopy After a Positive Fecal Test Result and Risk of Colorectal Cancer and Cancer Stage at Diagnosis 2017(JAMA)

  9. 遺伝性大腸癌診療ガイドライン 2020年版(大腸癌研究会)

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