疾患
炎症性腸疾患(IBD)|どんな病気?
🔹どんな病気ですか?
炎症性腸疾患(IBD:Inflammatory Bowel Disease)とは
腸に慢性的な炎症が起こる病気
のことをいいます。
IBDには”腸に炎症が起こるすべての病気”が含まれますが、主に下記2つの病気を指すことが多いです。
潰瘍性大腸炎(かいようせいだいちょうえん)
クローン病
どちらも免疫の異常が関係しているといわれていますが、まだはっきりとした原因はわかっておらず、国が指定する「難病」として知られています。
長期間の治療が必要となるため、これらの病気と診断されると医療費助成を受けられる場合があります。
🔹どんな症状がありますか?
IBD(潰瘍性大腸炎・クローン病)の症状は、それぞれ次のような特徴がみられます。
潰瘍性大腸炎
大腸に起こる
血便(ドロっとした粘血便)
下痢

クローン病
小腸・大腸に起こりやすい(口から肛門まで消化管のどこにでも起こる可能性あり)
下痢
腹痛
肛門周りの”痔ろう”(じろう、膿がたまり穴が開いて痛みをともなう痔のこと)

どちらの病気でも以下のような症状がみられます。
便意を感じたら、すぐトイレに行かなければ間に合わない(便意切迫感)
便が出た後も、まだ残っているような感じがする(テネスムス)
発熱、体重減少、貧血
口内炎
皮膚・関節・眼の炎症 など
これらの症状が強く現れる時期(活動期または再燃期)と、比較的落ち着いている時期(寛解期)を繰り返すことも特徴のひとつです。
また、IBDと似た症状を示すものに「過敏性腸症候群」という病気があります。
これは腸に炎症や異常はみられず、ストレスなどにより下痢や腹痛が起こるもので、治療法も異なります。
まずは検査を受けて、きちんと区別することが大切です。
🔹どんな検査でわかるのですか?
IBD(潰瘍性大腸炎・クローン病)では下記のような検査を行い、いくつかの所見を組み合わせて診断されます。特に、内視鏡検査(大腸カメラ検査)は診断に欠かせない重要な検査です。
問診
特徴的な症状がないか確認するため、以下のような内容をお伺いします。
- 便の状態・血便の有無
- 下痢の回数・腹痛の程度
- 症状がいつ頃から続いているか
- 今つらい症状は何か など
血液検査
炎症・貧血の有無などを確認します。
また、IBDでは食事を消化・吸収しづらくなるため、栄養不足が起こっていないかも調べます。
便検査
- 便に血液が混ざっていないか(便潜血検査)
- 細菌・ウイルス・寄生虫などの感染が原因で炎症が起こっていないか
などを調べます。
内視鏡検査(大腸カメラ検査)
大腸をカメラで観察し、炎症の程度や範囲をくわしく調べます。
組織を一部採取して顕微鏡で調べることもあります。
クローン病の場合は、小腸・他の消化管も調べるため、胃カメラ検査や口から飲み込むカプセル型の内視鏡などが使われることもあります。
その他の画像検査
状態に合わせて、エコー検査・レントゲン検査・CT検査・MRI検査などが行われることがあります。
🔹治療はどうするのでしょうか?
IBD(潰瘍性大腸炎・クローン病)の治療は薬物療法が中心です。
根本的な治療法はまだありませんが、炎症を抑えるために、さまざまな薬が使えるようになっています。
症状の程度や薬の効き目などを考慮しながら、患者さんに合った薬を選んでいきます。


薬と上手に付き合い、炎症が再び悪化することを防ぎながら、症状がほとんどみられない寛解状態を保つことで、学校生活や仕事などにおいて大きな制限なく、生活の質を高めることができます。
参考文献
[1] 日本消化器病学会 編: 患者さんとご家族のための炎症性腸疾患(IBD) 2023. [https://www.jsge.or.jp/committees/guideline/disease/pdf/ibd_2023.pdf(2025年10月1日閲覧)]
[2] 日本消化器病学会 編: 炎症性腸疾患(IBD)診療ガイドライン2020(改訂第2版). 南江堂. 2020. [https://www.jsge.or.jp/committees/guideline/guideline/pdf/ibd2020_.pdf(2025年10月1日閲覧)]
[3] 令和6年度 改訂版(令和7年3月31日) 潰瘍性大腸炎・クローン病 診断基準・治療指針. 厚生労働科学研究費補助金 難治性疾患政策研究事業「難治性炎症性腸管障害に関する調査研究」(久松班)令和6年度分担研究報告書. 2025. [http://www.ibdjapan.org/pdf/doc15.pdf(2025年10月1日閲覧)]