公開日
2026.7.24
更新日
2026.7.24
総合診療
熱中症は、身体を動かす人も注意!危険サインと応急処置も解説

こんにちは!リベ大総合クリニック大阪院 院長の大岩です。
🌀 うちの子は毎日炎天下で部活。若いから大丈夫?
🌀 毎日ジムで運動しているし、熱中症とは無縁だと思う
🌀 屋外の仕事に慣れているから平気!
こんな風に思っていませんか?
熱中症は、高齢の方に多いイメージがあるかもしれません。しかし実際には、体力に自信がある人も、重い熱中症におそわれる危険性があります。
「暑さに慣れているから大丈夫」と無理を続けず、暑さ指数や体調を見て中止する判断が大切です。
そこで、今回のコラムでは「自分は大丈夫」と思っている人にこそ知ってほしい熱中症について、お話ししていきます!
🔸 体力があっても熱中症は起こる
「熱中症」とは、高温な環境下で、身体にたまった熱をうまく逃がせなくなったり、体の水分や塩分が不足したりして、さまざまな症状がみられる状態のことです。
そして、運動や肉体労働をしているときなどに起こる熱中症は、「労作性熱中症(ろうさせいねっちゅうしょう)」と呼ばれます。
身体を動かしていると、筋肉がたくさんの熱を生み出します。そこに夏の暑さと湿気が重なると、汗をかいても追いつかず、身体の内部の温度が上がってしまうのです。
労作性熱中症は、健康な人でも短時間で発症することがあり、適切な対処をせずに放置していると命にかかわることもあります。
実際、重い熱中症で運ばれる方には、スポーツに打ち込む若い世代や、屋外で働く現役世代が少なくありません。体力がある人の中には「ここでやめたら情けない」と、身体からの危険サインを気合いで押し切ってしまうこともあります。
また、若い人や運動習慣がある人でも「身体にたまった熱を逃がす力」には個人差があります。特に、次のような状態は熱中症になりやすく、注意が必要です。
熱中症になりやすい状態 | その理由 |
|---|---|
暑さにまだ慣れていない | 身体が暑さに適応できていないため |
睡眠不足・疲れ・風邪など体調が悪い | 脱水や体温調節の乱れが起こりやすいため |
肥満ぎみ | 身体に熱がこもりやすいため |
体力が低い人・普段あまり運動しない | 暑さに弱い傾向があるため |
下痢・二日酔い・朝食を抜いた | 脱水になりやすいため |
心臓疾患や高血圧、精神疾患の薬を飲んでいる | 薬の作用によって脱水になりやすいため |
🔸 運動の可否は暑さ指数で判断しよう
近年は、暑さ指数(WBGT)をもとに、ニュースなどで「危険な暑さだから外出は控えて」と呼びかけられる日も増えています。
暑さ指数は、気温だけでなく湿度や日ざしの照り返し、風の要素まで合わせて、身体にとっての危険度を表した数字です。
暑さ指数が33以上と予測される日には、国から「熱中症警戒アラート」が発表されます。アラートが出た日は、屋外の運動や作業の予定を思いきって見直しましょう。
日本スポーツ協会は、スポーツによる熱中症を防ぐため、暑さ指数が33以下での運動の目安を示しています。

💭「せっかく練習を組んだのに…」
💭「いつもの習慣だから…」
そう思う気持ちも、よくわかります。しかし、数字が危険を示しているなら、予定を変えることはサボりではなく、身体を守るための正しい判断です。
🔸 熱中症の危険サイン
暑さ指数を参考に対策をしていても、身体が悲鳴を上げることはあります。
熱中症による症状は、本人より周りの人が先に気づくことも多くあります。自分の不調を感じたら早めに対処することはもちろん、周りの人の様子がおかしいと感じたら、迷わず声をかけてあげましょう。

特に自力で水分をとれない状態は、見た目以上に危険です。少し休めば治ると様子を見るのではなく、救急車を呼びましょう。
労作性熱中症は進行が速いため、すみやかに応急処置を行い、医療機関で適切な治療を受けることが大切です。
🔸 熱中症で倒れたときの応急処置
危険なサインに気づいて救急車を呼んだら、次は救急車が到着するまでに「冷却」をすることが重要です。重い熱中症では、どれだけ早く身体を冷やせるかが、その後を大きく左右します。
以前のコラムでは、軽い熱中症のときに、首すじ・脇の下・足の付け根を冷やす方法をお伝えしました。
▼ 関連コラム
【すぐ119番】自分で水が飲めなくなるとき:その前に!命を守る熱中症対策5選
しかし、運動や作業で起きた熱中症で、すぐに119番するべきサインがみられたときは、もっと思いきった冷やし方が必要です。
ポイントは「思いきって、全身を、一気に」冷やすことです。
環境省のマニュアルでも、激しい運動や作業で起きる熱中症には、全身を冷たい水で冷やすことが推奨されています。
運動や作業で熱中症になり、救急車を呼んだ後の流れとしては、次のとおりです。
✅ 涼しい日陰やエアコンの効いた室内へ移動する
✅ 衣服をゆるめ、できる範囲で脱ぐ
✅ 水道水をホースやバケツで全身にかけ続ける、濡れたタオルで全身をおおって扇ぐ
✅ 首すじ・脇の下・足の付け根に、保冷剤や氷を当てる
熱中症だと「水分を摂らせよう」と思うかもしれませんが、意識がはっきりしない人には無理に飲ませないようにしてください。のどを詰まらせる危険があるためです。
とにかく全身を冷やしながら、救急隊の到着を待ちます。
🔸 熱中症を防ぐ夏の準備
実は、熱中症は準備をしておくとリスクを下げられると言われています。
特に知っておきたいのが、身体を少しずつ暑さに慣らしていく「暑熱順化(しょねつじゅんか)」です。
急に暑くなる梅雨明けの時期は、身体がまだ暑さに慣れておらず、熱中症の危険が高まりやすくなります。いきなり全力で動かず、1〜2週間ほどかけて、少しずつ運動量や作業量を上げていきましょう。
また、次のような心がけも大切です。

こまめに休憩することも、今日はここまでと切り上げる判断も、元気でいるために大切なことです。
🔸 まとめ|無理なく夏を乗り切るために
今回は、運動や肉体労働をしているときなどに起こる「労作性熱中症」についてお話ししました。
熱中症は、高齢の方だけに起こるものではありません。部活・ランニング・屋外作業など、元気に動いている人こそ重症化するケースがあります。
気合いではなく暑さ指数を目安にし、危険なサインを感じたら迷わず休むようにして、無理なく夏を乗り切りましょう。
リベ大総合クリニック大阪院では、夏前の体調チェックや、持病・お薬を飲んでいる方の熱中症のご相談も承っています。
※ 意識がおかしい・歩けないなど、重いサインがあるときは、ためらわずに119番をお願いします。
少しでも参考にしていただければうれしいです。
では、次回のコラムもお楽しみに!
【参考文献】
環境省. 熱中症予防情報サイト 暑さ指数(WBGT)について.
環境省. 熱中症環境保健マニュアル2022.
日本救急医学会. 熱中症診療ガイドライン2024.
厚生労働省. 職場における熱中症予防対策マニュアル.
日本スポーツ協会. スポーツ活動中の熱中症予防ガイドブック.