公開日
2026.8.14
更新日
2026.8.14
総合診療
アレルギー検査で陽性=食べちゃダメ?|結果の正しい読み方

こんにちは!リベ大総合クリニック大阪院 院長の大岩です。
🌀 卵が陽性って出たから、もう食べさせない方がいいですよね…?
🌀 せっかく採血するなら、全部調べておいたほうが安心ですよね?
🌀 血液検査が陰性だったから、アレルギーじゃないってことですよね?
外来でよくいただく質問です。実はこの3つ、どれも検査だけでは判断できません。
結論からお伝えすると、アレルギーの血液検査は、症状とセットで読む検査です。陽性でも食べられる方はいますし、陰性でも症状が出るタイプがあります。
そこで今回は、アレルギー検査の結果の読み方について一緒に確認しましょう。
🔸 陽性でも食べられる人はいます
血液検査の陽性は、食品に反応するスイッチを体が持っている、という意味です。食物アレルギーと呼ぶのは、そのスイッチが実際に押されて症状が出ている状態です。スイッチを持っていても、押されないまま過ごしている方はたくさんいらっしゃいます。
特に小麦や大豆は、検査では陽性と出ても、実際には問題なく食べられていることが多いと示されている食品です。

検査結果を見て、念のため除去を始めた方もいらっしゃるかもしれません。でも、除去しなくてもいい場合もあり、過剰に除去することで栄養や生活の負担につながることもあります。
やめるかどうかは、症状の出方を確かめてから診察で一緒に決めましょう。
🔸 「感作」って、どういう状態?
検査で陽性と出るのは、その食品に対するIgE(アイジーイー)抗体を持っている状態のことで、医学的には「感作(かんさ)」と呼びます。
※IgE抗体:免疫の働きで作られるタンパク質の一つで、アレルギー反応の引き金に関わります。
検査結果は、抗体の量に応じてクラス0〜6の7段階で表示されます。目安はこちらです。
クラス | IgE抗体の量 | 読み方 |
|---|---|---|
0 | 0.35UA/mL未満 | 陰性です |
1 | 0.35〜0.69UA/mL | 疑陽性で、わずかに抗体がある状態です |
2〜6 | 0.70UA/mL以上 | 陽性で、数字が大きいほど抗体の量が多いことを示します |
この数値はFEIA法の場合で、検査方法によって基準は変わります。クラスが表すのは抗体の量で、数字が大きいほど、食品によっては症状が出る可能性も高くなります。クラス6だから重症、という読み方はできません。
クラスが分かったら、診察で「いつ、何を、どれくらい食べて、何分後にどうなったか」を一緒に確かめましょう。
🔸 陰性なら安心?
多くの場合、陰性ならIgE型アレルギー(IgE抗体が関わる、食べてすぐ症状が出る一般的なタイプ)の可能性は下がります。ただし、同じ食べ物を口にしたあとに毎回似た症状が出ているときは、陰性でも完全には否定できません。
例えば、果物や野菜で口の中がイガイガする口腔アレルギー症候群は、通常の血液検査には出にくいタイプで、皮膚テストなど別の検査が役立つ場合があります。食べたあとの運動時だけ症状が出る食物依存性運動誘発アナフィラキシーも、血液検査だけでは判断できません。食べた食品や運動との関係を確認して、必要に応じた追加検査で診断します。

どちらも、りんごやパンのような身近な食べ物で起こることがあります。気になる症状が続くなら、陰性でもご相談ください。
🔸 調べる項目が多いほど、不要な食事制限が増えます
「せっかく採血するなら、一度に全部調べたい」と感じますよね。ですが、症状と関係のない項目まで調べると、普段は問題なく食べられているものまで陽性と出やすくなります。
困るのはそのあとです。本当は食べられるものまでやめてしまい、保育園や外食のたびに負担が増えます。「これも避けなきゃ」という不安だけが膨らんでしまう状態ですね。成長期のお子さんでは、栄養面への影響にも注意が必要です。
米国アレルギー喘息免疫学会(ACAAI)も、検査だけに頼ると実際にはないアレルギーと診断されることがあると注意を促しています。
🔸 血液検査が頼りになる場面
ここまで読むと、血液検査はあてにならないように思えるかもしれません。大丈夫です。血液検査は、症状や経過と合わせて使うことで、診断の大切な手がかりになります。
力を発揮するのは、食べたあとに症状が出た経験があり、原因に心当たりがあるときです。その心当たりに的をしぼって調べれば、診断は大きく前に進みます。
大切なのは順番です。

この順番で進むと、陽性がいくつ並んだ結果でも、自分に関係のあるものが見えてきます。
🔸 判断が難しいときは「食べて確かめる」検査も
食物アレルギーは、問診と検査、必要に応じて食物経口負荷試験で診断しますが、負荷試験が全員に必要なわけではありません。
食べていいのか判断がつかないときに、医師がリスクを確認したうえで、緊急時に対応できる専門施設で少量から段階的に食べ、症状が出ないかを確かめます。これまで避けていた食品や、以前に強い症状が出た食品を、自己判断で自宅で試すのは避けてください。再開する量や方法は医師と相談しましょう。
次の症状があれば、早めの受診をおすすめします。
✅ 食べた直後(数分〜2時間以内)に、じんましんや唇の腫れ、咳、嘔吐が出る
✅ 同じ食品で、何度も症状を繰り返している
✅ ごく少量でも、または運動した日に限って症状が出る
✅ 以前、アナフィラキシーを起こしたことがある
※アナフィラキシー:息苦しさやのどの締めつけ、繰り返す嘔吐、意識がもうろうとするなど、複数の強い症状が急に現れる重いアレルギー反応のこと
🔸 よくある質問
Q.アレルギー検査は何科で受けられますか?費用はどのくらい?
内科や小児科、皮膚科、耳鼻科で受けられます。症状に応じた検査なら保険が使えますが、費用は調べる項目数や医療機関によって変わります。受診前にご確認くださいね。
Q.健診で「総IgEが高い」と言われました。アレルギー体質でしょうか?
総IgEは体質の参考にはなりますが、アレルギーの有無や原因を判断できません。喘息や皮膚の病気でも上がります。
Q.ネットで見かける「遅延型アレルギー(IgG)検査」は受けた方がいいですか?
いわゆる『遅延型食物アレルギー検査』として販売されている食物特異的IgG検査は、食物アレルギーの診断には推奨されていません。IgG抗体は、普段から問題なく食べている食品でも陽性と出るため、避けるべき食品を見分けられないからです。
🔸 まとめ|検査は症状とセットで読みましょう
今日お伝えしたかったのは、検査の陽性は「反応する準備がある」というサインで、アレルギーの確定ではないということです。今まで食べられていたものをやめるかどうかは、検査の数字と症状を合わせて判断します。
本当に避けるものは避けて、食べられるものは安心して食べる。そう切り分けられると、毎日がずいぶん楽になります。
当院で大切にしているのは、問診と血液検査から「本当に除去が必要なのか」を一緒に整理することです。より専門的な評価が必要なときは、食物経口負荷試験を行っている施設をご案内します。避けるか迷っている食品があれば、自己判断で試す前にご相談くださいね。
みなさまが「ご機嫌な毎日」を過ごせますように! 少しでも参考にしていただければうれしいです。
では、次回のコラムもお楽しみに!
【参考文献】
食物アレルギー診療ガイドライン2021(日本小児アレルギー学会)
食物アレルギーの診療の手引き2023(食物アレルギー研究会)
食物経口負荷試験の手引き2023(食物アレルギー研究会)
血中食物抗原特異的IgG抗体検査に関する注意喚起 2015(日本アレルギー学会)
特異的IgE(シングルアレルゲン)FEIA法クラス分類(エスアールエル 総合検査案内)
EAACI guidelines on the diagnosis of IgE-mediated food allergy 2023(欧州アレルギー・臨床免疫学会)
Allergy Testing(米国アレルギー喘息免疫学会/ACAAI)