健康コラム

公開日

2026.3.27

更新日

2026.3.26

総合診療

脂肪肝は"肝臓だけの病気"じゃない。放置のリスクと今日からできる5つの対策 

こんにちは!リベ大総合クリニック大阪院 院長の大岩です。


 

🌀 脂肪肝って言われたけど、症状ないし放置でいいでしょ?

🌀 お酒飲まないから大丈夫って思ってたのに…


そう思って、つい後回しにしてしまいがちですよね。


実は今、脂肪肝を“肝臓だけでなく全身の病気”として考えるように変わってきています。

今日は、脂肪肝を放置するリスクと、今日から無理なくできる対策を、一緒に確認していきましょう!

🔸 脂肪肝とは「肝臓が太った状態」

肝臓は、エネルギーを蓄えたり有害な物質を分解したりする大切な臓器です。

その肝臓に脂肪がたまりすぎた状態を「脂肪肝」といいます。

脂肪肝の正式名称が変わった:「MASLD(マスルド)」とは

脂肪肝は「お酒を飲む人だけの病気」と思われがちですが、実は違います。お酒をほとんど飲まないのに脂肪肝になる人が急増しており、成人の3〜4人に1人は脂肪肝とも言われているんです。


お酒をあまり飲まない方で、生活習慣病が原因で起こる脂肪肝はNAFLD(ナッフルド:非アルコール性脂肪性肝疾患)と呼ばれていました。

2023年からは「MASLD(マスルド:代謝機能障害関連脂肪肝疾患)」と呼ばれています。


ポイントは「代謝」という言葉が入ったことです。


つまり、脂肪肝は「肝臓だけの病気」ではなく、「体全体の代謝の乱れ」とセットで考える必要があります。

実際、脂肪肝がある方は、お腹周りの肥満や高血糖、脂質異常、高血圧なども一緒に抱えていることが多いとされています。

🔸 放置はNG!脂肪肝から肝臓がんへのリスク

🌀 自覚症状はないんだけど、今すぐ何かしないとまずいの? 


そう思ってしまう方も多いかもしれません。痛みもかゆみもないと、「後回しでいいかな」と感じやすいですよね。

でも、実は肝臓は「沈黙の臓器」と呼ばれ、少々のダメージでは悲鳴を上げません。症状がないまま進行し、ある日突然、大きな病気として見つかることが多いのです。


脂肪肝の一部は、炎症が続くことで肝臓が少しずつ硬くなり(線維化)、肝硬変や肝臓がんにつながることがあります。

🔸 脂肪肝は「全身の血管」を傷つける

脂肪肝で注意したいのは、肝臓だけではありません。

実は、全身の血管にも影響することが知られています。


先ほどもお伝えした通り、肝臓に脂肪が溜まっているということは、体全体の代謝が乱れている証拠です。


代謝の乱れによって血液や血管の状態が悪くなり、全身の血管に負担がかかりやすくなります。

このように、脂肪肝によって心臓や脳の血管が詰まる恐れが高まります。

🔸 今日からできる脂肪肝の対策

🌀 食事制限とか運動とか、厳しいことしなきゃダメ…?


大丈夫です。「完璧」を目指す必要はありません。

今日からできる「5つの対策」をご紹介します。

① 体重を3〜5%減らす

いきなり「10kg痩せる!」と意気込む必要はありません。

体重を5%以上減らすことで脂肪肝の改善が報告されています。

まずは無理のない範囲で「今の体重の3〜5%」を減らすことを目指しましょう。


例えば、体重70kgの人なら「2〜3.5kg」です。これなら、できそうな気がしてきませんか?

② 運動は「続けられるもの」を

例えば、エスカレーターではなく階段を使う、1駅分歩いてみる、1日10分だけスクワットをする、といった工夫でも十分です。

「わざわざ」やるのではなく、日常の中に「ちょこっと運動」を取り入れましょう。

▼「具体的にどんな運動をすればいいの?」と気になった方は、ぜひこちらの記事もチェックしてみてください。

週150分の運動ってどれくらい?忙しい人のための「現実的な方法」

③ 睡眠を整える

🌀 えっ、睡眠不足が脂肪肝に関係あるの?


意外に感じるかもしれませんが、睡眠不足も脂肪肝のリスクと関係があるとされています。

睡眠が足りないと、体の中で「食欲をコントロールするホルモン」のバランスが崩れ、つい食べ過ぎてしまいます。


理想は、毎日7時間程度の、質の高い睡眠です。「寝る前のスマホを30分控える」だけでも、睡眠の質はぐっと変わります。

④ お酒を見直す

脂肪肝がある人がお酒を飲むと、肝臓へのダメージがさらに加速してしまいます。

「少量なら大丈夫」と思いがちですが、まずは「量を減らし、できればゼロに近づける」ことが大切です。


まずは週に2〜3日、お酒を飲まない休肝日を作ることから始めましょう。

⑤ 中性脂肪だけではなく糖分も控えた食事に

肝臓の脂肪は「脂っこいもの」だけが原因ではありません。

「糖分(炭水化物や甘いもの)」の摂りすぎも、肝臓で脂肪に変わってしまいます。


  • 清涼飲料水や甘いお菓子を控える

  • 白米を玄米や雑穀米に変えてみる

  • 食事の最初に野菜を摂る(ベジファースト)


これらを意識して、無理のない範囲で、中性脂肪や糖分を控えた食事を心がけてみてください。

🔸 脂肪肝の検査

「自分は大丈夫?」と心配になったら、まずは検査をしてみましょう。

当院では、主に2つの検査で脂肪肝の状態をチェックしています。

採血

血液検査で、AST(GOT)、ALT(GPT)、γ-GTPなどの数値から、肝臓の細胞がダメージを受けていないかを確認します。最近では、採血の結果から「線維化がどのくらい進んでいるか」を推定するスコア(FIB-4 indexなど)が使われています。

腹部のエコー

腹部のエコーは、超音波を使って肝臓の様子を画像で確認する検査です。

痛みもなく、数分で終わります。


検査のご予約はこちら

🔸 まとめ|肝臓のために、今日から「全身」を整えよう

今日お伝えしたかったのは、脂肪肝は「体全体の代謝が乱れているサイン」だということです。

「肝臓だけ」ではなく、体重や血糖、運動、睡眠など全体を整えることが大切です。

そして、それはあなたの心臓や血管を守ることにもつながります。


「脂肪肝くらい、大したことない」と放置せず、今のうちに整えておけば、10年後、20年後に「あの時、対策してよかった」そう感じられるかもしれません。


当院では、脂肪肝の評価から生活習慣の見直し、線維化(肝硬変)リスクの確認まで対応しています。

「脂肪肝って言われたけど、何から始めればいい?」と迷ったら、まずは一度ご相談ください。


みなさまが「ご機嫌な毎日」を過ごせますように!

少しでも参考にしていただければうれしいです。


では、次回のコラムもお楽しみに!


【参考文献】

  1. Rinella ME, et al. A multisociety Delphi consensus statement on new fatty liver disease nomenclature. Hepatology 2023.

  2. Rinella ME, et al. AASLD Practice Guidance on the clinical assessment and management of nonalcoholic fatty liver disease. Hepatology 2023.

  3. Targher G, et al. NAFLD and increased risk of cardiovascular disease: clinical associations, pathophysiological mechanisms and pharmacological implications. Gut 2020.

  4. Vilar-Gomez E, et al. Weight loss through lifestyle modification significantly reduces features of nonalcoholic steatohepatitis. Gastroenterology 2015.

  5. 日本消化器病学会「NAFLD/NASH診療ガイドライン2020」

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