公開日
2026.7.3
更新日
2026.7.3
総合診療
危ない動悸のサイン|様子見でいい動悸・すぐ受診したい動悸の見分け方

こんにちは!リベ大総合クリニック大阪院 院長の大岩です。
🌀 動悸はよくあることだし、疲れているだけかな…
🌀 急にドキドキして、急に止まる。これって不整脈?
こんなふうに、不安を感じている方もいるかもしれません。
動悸の多くは、一時的な体調や生活習慣の変化が関係して起きているとされています。ただ、一部の動悸には、放っておくと命に関わる不整脈が隠れていることがあります。
そこで今回は、「様子を見ていい動悸」と「早めに受診したい動悸」の見分け方を、一緒に確認していきましょう。
🔸 動悸=心臓の病気とは限らない
実は、動悸の原因は、心臓の病気だけではありません。動悸とは、心臓の拍動をいつもより強く・速く・不規則に感じる状態です。その原因は、大きく2つに分けられます。
不整脈によるもの
期外収縮(一瞬ドキッと脈が飛ぶ感覚)が代表的で、多くは治療のいらない良性のものとされています。一方で、心房細動や心室頻拍など、種類によって重症度はさまざまです。
不整脈以外によるもの
貧血・甲状腺機能亢進症(バセドウ病など)・低血糖・脱水・発熱・カフェインの摂りすぎなどが代表的です。さらに、ストレスや自律神経の乱れ、更年期のホルモン変化でも動悸は起こります。
つまり「動悸があるから心臓の病気」とは限りません。ただ、「体質だから」と何年も放置した結果、重大な不整脈を見逃していたケースもあるため、注意が必要です。
🔸 危ない動悸は“症状”と“持病・家族歴”で見分ける

医師が動悸の危険度を考えるとき、重視するのは「どんな症状を伴うか」と「もともとのリスク(持病や家族歴)」の2点です。それぞれ見ていきましょう。
症状でわかること
動悸に次のような症状が伴うときは、注意したいサイン(レッドフラッグ)とされています。
◻︎ 失神、または意識が遠のく感覚がある
◻︎ 胸の痛みや締め付け感がある
◻︎ 強い息苦しさがある
◻︎ 安静時に脈が異常に速い(1分間に150回以上)または遅い(40回以下)
なかでも気をつけたいのが、失神・前失神(ふっと意識が遠のく感覚)です。「立ちくらみくらい」と放置されがちですが、動悸に伴う失神は、重大な不整脈が背景にあることもあります。一般的な立ちくらみとの区別が難しいこともあるため、動悸と一緒に意識が遠のく場合は、早めに相談してください。
逆に、失神も胸痛も息苦しさもない動悸は、緊急性が低いことが多いとされています。ただし「低い」であって「ゼロ」ではありません。
持病・家族歴でわかること
同じ動悸でも、心臓の病気(心筋梗塞や心不全など)や生活習慣病(高血圧・糖尿病など)がある方は、重症の不整脈リスクが高まります。
特に注意したいのが、50歳以下のご家族に突然死した人がいる場合です。こうしたケースでは、遺伝性の不整脈が関係していることも少なくありません。症状が軽くても、一度検査を受けておくと安心につながります。
🔸 「心房細動」は、よくあるけれど放置したくない不整脈
成人以降に増える不整脈の一つに、心房細動(しんぼうさいどう)があります。心臓の上の部屋(心房)が細かく震えて、脈がバラバラに乱れる状態です。
心房細動は、すぐに突然死へ直結するタイプの不整脈とは異なります。ただし、脳梗塞や心不全のリスクと関係するため、放置したくない不整脈です。心房細動になると、心房がうまく収縮できず、心臓の中に血のかたまり(血栓)ができやすくなります。この血栓が脳の血管に詰まると、重い脳梗塞につながることがあります。

やっかいなのは、心房細動の約3〜4割は自覚症状が乏しいと報告されている点です。動悸として気づかないまま、健診の心電図で偶然見つかることも少なくありません。脈の乱れを感じたら、一度心電図で確認しておきましょう。
🔸 動悸を感じたら、何科に相談する?
動悸を感じたら、まずは循環器内科がおすすめです。
失神や強い胸の痛みなど、いつもと明らかに違う症状を伴うときは、ためらわずに受診してください。場合によっては、救急の受診も検討しましょう。
動悸は、症状が出ている最中でないと、心電図に異常が表れにくいものです。そのため、急ぎでない場合は、動悸が起きているときの様子を記録しておくと、医師が状態を把握しやすくなります。
<受診前にチェックしておきたいこと>
□ いつ・どんなときに起きるか
□ どのくらい続くか
□ 脈の速さと規則性(手首で触れてみる)
□ 伴う症状(失神・胸痛・息苦しさ・冷や汗)
□ 何をすると止まるか
最近は、Apple Watchなどのスマートウォッチに、心電図を記録できる機種も増えてきました。動悸が起きているときの波形を残せれば、診断に役立つことがあります。
🔸 まとめ
最後に今日のポイントをまとめます。
✅️ 動悸の多くは良性。ただし一部に重大な不整脈が隠れることがある
✅️ 「症状の中身」と「背景リスク」の2つで危険度を見分ける
✅️ 失神・胸痛・強い息苦しさ・極端な脈は、様子見せず受診を
✅️ 心房細動は脳梗塞のリスク。脈の乱れは心電図で確認を
当院では、症状に応じて心電図やホルター心電図など、必要な検査をご案内します。気になる動悸がある方は、無理せずお気軽にご相談くださいね。
少しでも参考にしていただければうれしいです。 では、次回のコラムもお楽しみに!
▼ 関連コラム
動悸の原因の一つ「甲状腺機能亢進症」については、こちらで詳しく解説しています。
参考文献
2018 ESC Guidelines for the diagnosis and management of syncope. European Heart Journal. 2018;39(21):1883-1948.
Al-Khatib SM, et al. 2017 AHA/ACC/HRS Guideline for Management of Patients With Ventricular Arrhythmias and the Prevention of Sudden Cardiac Death. J Am Coll Cardiol. 2017.
January CT, et al. 2014 AHA/ACC/HRS Guideline for the Management of Patients With Atrial Fibrillation. J Am Coll Cardiol. 2014;64:e1-76.
Ganz LI, Friedman PL. Supraventricular Tachycardia. N Engl J Med. 1995;332(3):162-173.
Prevalence of asymptomatic atrial fibrillation and risk factors associated with asymptomatic status: a systematic review and meta-analysis. European Journal of Preventive Cardiology.