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総合診療
仕事が楽しいなら長時間働いても大丈夫?医師が教える働きすぎのサイン

こんにちは!リベ大総合クリニック大阪院 院長の大岩です。
🌀 忙しいけれど、まだ頑張れている
🌀 休日も仕事が気になって、つい連絡を確認してしまう
🌀 好きで働いているなら、多少忙しくても大丈夫?
患者さんに最近の様子をお聞きすると、「忙しいけど、仕事は楽しいですよ」と笑顔で話してくださる方が多くいらっしゃいます。実際、仕事には収入だけでなく、やりがいや人とのつながり、生活のリズムなど、良い面もたくさんあります。
しかし、仕事が楽しいと、疲れがたまっていることに気づきにくい場合もあります。
仕事による負担は、働いた時間の長さだけでは測れません。睡眠や休息で「疲れを回復できているか」も、大切な目安になります。
今回のコラムでは、楽しく働く人にも知ってほしい働きすぎの影響と、体調を振り返るポイント、休み方や受診の目安をお話しします!
🔸 働きすぎるとどうなる?
長時間労働は、脳や心臓の病気のリスク上昇と関連しています。
ただ、仕事への向き合い方によっても、心身への影響は違うようです。
脳や心臓の病気との関係
WHO(世界保健機関)とILO(国際労働機関)の2021年の分析では、週35〜40時間働く人と週55時間以上働く人を比べています。週55時間以上働く人は、脳卒中になるリスクが約35%、虚血性心疾患(心筋梗塞など)で亡くなるリスクが約17%高いと推定されました。
日本の労災認定基準では、発症前1ヶ月におおむね100時間、または2〜6ヶ月の平均で月80時間を超える残業があると、脳や心臓の病気と仕事の関連が強いと評価されます。いわゆる「過労死ライン」です。
ただし、どちらの数字も「ここまでなら安全」という線ではありません。働く時間が目安より短くても、体調の変化には注意が必要です。
楽しければ大丈夫とは限らない
💭「好きでやっている仕事だから、ストレスにはならないはず!」
そう思う方もいらっしゃるかもしれません。仕事が好きで、意欲的に取り組めている状態は、ワーク・エンゲージメントと呼ばれます。仕事が好きなこと自体は、悪いことではありません。
一方、よく耳にする「ワーカーホリック(仕事中毒)」は、休もうとすると不安や罪悪感がわき、駆り立てられるように働いてしまう状態を指します。
日本の企業で働く1,196人を、2年間追跡した研究があります。仕事に前向きに取り組んでいた人は、心身の不調が減る傾向がみられました。反対に、駆り立てられるように働いていた人は、不調が増える傾向がみられました。
気をつけたいのは、「やりたいから働く」が、いつの間にか「休みたくても休めない」に変わっていないかです。好きな仕事でも、労働時間とあわせて、睡眠や休息でしっかり疲れが取れているかを振り返ってみましょう。

🔸 働きすぎのサインをチェック
仕事で使った体力や集中力は、睡眠や休息で取り戻せていれば、翌日に持ち越されません。ところが、休息が仕事の負担に追いつかない日が続くと、疲れが少しずつ積み重なっていきます。
私はこの状態を、患者さんに「回復赤字」とお伝えしています。医学用語ではなく、家計の赤字にたとえた言葉です。
回復赤字がたまっていないかは、次の項目で確認してみましょう。

疲れの原因は、気持ちの面だけではありません。立ち仕事や外回りなど、身体を使う仕事の疲れもあわせて振り返ってみましょう。
体調の変化とあわせて確認したいのが、「休もうと思ったときに休めるかどうか」です。ヨーロッパの約19万7千人を追跡した研究では、仕事の要求が多いのに進め方を自分で決めにくい人は、心筋梗塞などのリスクが約23%高いという関連がみられました。
🔸 仕事を減らせないときの休み方
🌀 労働時間を減らすのは、正直無理
🌀 帰る時間を、自分では決められない
仕事量は、自分一人では変えにくいものです。そこで、仕事量はそのままでも始められる「睡眠」と「仕事の区切り」から見直すのがおすすめです。
睡眠時間を先に確保する
睡眠には、日中に生じた心身の疲労を回復する働きがあります。疲れを翌日に持ち越さないためにも、睡眠の時間は後回しにせず、先に確保しましょう。
私が提案しているのは、起床時刻から逆算して寝る時刻を先に決め、それに合わせて仕事を切り上げる時刻も予定に入れる方法です。ただし、睡眠をしっかり取れば長時間働いても大丈夫、というわけではありません。
まずは、寝る時刻・起きる時刻と朝の疲れ具合を、1週間ほど記録するところから始めてみませんか?睡眠の長さだけでなく、朝起きて「よく休めた」と感じられるかも、良い睡眠の目安になります。
仕事を終える区切りをつくる
仕事から心理的に離れることは、疲労感の少なさや良い睡眠と関連するという研究があります。
たとえば、次のような行動が区切りになります。
✅ 明日やることをメモに書き出す
✅ 対応が必要な連絡を除いて、仕事用の通知を切る
✅ 帰宅後に着替える
全部取り入れようとせず、できそうなことから試してみてはいかがでしょうか。
🔸 こんな不調は医療機関へ

体調の変化があるときは、休み方を工夫するだけでよいか、医療機関への相談が必要かも考えましょう。まず、急いで対応してほしい症状からお伝えします。
急な胸痛や麻痺はすぐ119番
次のような症状があれば、通常の外来予約を待たず、119番へ連絡してください。
突然の激しい胸の痛みや、急な息苦しさ
突然、片側の腕や足に力が入らない
ろれつが回らず、うまく話せない
突然の激しい頭痛
重大な病気の可能性があるため、「疲れているだけ」と様子を見るのは危険です。
続く不調は原因を確認
次のような症状がある場合は、早めに内科を受診しましょう。
動悸やめまいを繰り返す
休んでも疲れが取れない状態が1ヶ月以上続く
眠れず、日常生活に支障が出ている
急な症状でなくても、我慢せずにご相談ください。
たとえば動悸には、不整脈だけでなく、貧血や甲状腺の異常などが関わることもあります。
当院では、働きすぎと決めつけず、まず原因を調べます。原因に応じた治療や生活面の調整によって、症状が改善することもあります。また、受診したからといって、必ず休職や服薬が必要になるわけではありません。
🔸 まとめ|健康で働き続けるために
今回は、働きすぎの影響と休み方についてお話ししました。健康で働き続けるためにも、労働時間だけでなく、朝の疲れや眠りの変化に目を向けてみませんか。
実は当院では、スタッフの週休3日制を進めています。スタッフがきちんと回復してこそ、患者さんに落ち着いて向き合えると考えているからです。
……とはいえ、院長である私自身は、なかなか休めていないのが正直なところ(汗)。このコラムは、自分にも言い聞かせながら書いています。
🌀 疲れが続いているけれど、内科で相談していいのかな
そんな方も、お気軽にご相談ください。
少しでも参考にしていただければうれしいです。
では、次回のコラムもお楽しみに!
【参考文献】
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