公開日
2026.2.6
更新日
2026.7.27
総合診療
eGFRが低い・クレアチニンが高い=腎臓病?受診の目安を解説

こんにちは!リベ大総合クリニック大阪院 院長の大岩です。
🌀 健診で「腎機能が低下しています」って言われた…
🌀 eGFRとかクレアチニンとか、何のことかよくわからない…
🌀 これって腎臓病?透析になっちゃうの…?
健診結果で「腎機能」の項目に引っかかると、急に不安になりますよね。
しかし、1回の検査結果が悪くても、「腎臓病」と決まるわけではありません。
今回のコラムでは、何の検査項目をどう見ればいいか、いつ受診すべきかを、一緒に整理していきましょう!
🔸クレアチニンとeGFRって何?
腎機能を測定する検査項目には、クレアチニンとeGFRがあります。
それぞれ簡単に説明しますね。
クレアチニンは筋肉で作られる老廃物
腎臓が元気な状態では、筋肉で作られた老廃物はしっかり尿から排出されます。
しかし、腎臓の働きが落ちると、老廃物が十分に排出されず、血液中にクレアチニンがたまり、数値が高くなってしまいます。
eGFRは腎臓の働きを表す指標
eGFR(推算糸球体ろ過量)とは、クレアチニンの値から計算した、「腎臓がどのくらい働いているか」の目安です。
単位は「mL/分/1.73m²」で、数字が大きいほど腎臓が元気とされています。
クレアチニンは筋肉量の影響を受けやすい
クレアチニンは、腎臓の状態だけではなく、筋肉量の影響を受けるとされています。

このように、年齢・性別・運動習慣など、人によって筋肉量は異なります。
そのため、クレアチニンの数字だけでなく、eGFRとセットで見ることが大切なんです。
🔸CKD(慢性腎臓病)の定義:「3か月以上続く」がポイント
🌀 eGFRが低かったら、もう腎臓病なの?
実際、そう心配される方も多いと思います。
でも、1回の検査でeGFRが低かったからといって、すぐに「慢性腎臓病(CKD)」と診断されるわけではありません。
CKDの国際的な定義は、「腎臓の構造または機能の異常が、3か月以上持続していること」とされています。
つまり、「3か月以上、数値の異常が続いているかどうか」が重要なんです。
1回の検査で少し低かっただけであれば、脱水や体調の影響、検査の誤差などの可能性もあります。
まずは3か月後にもう一度検査を行い、その数値が持続しているかを確認しましょう。
🔸要注意!「急性腎障害(AKI)」は放置NG
🌀 1回低かっただけなら放置していいの?
いえ、そうとも言い切れません。「急に悪くなっている」場合は、注意が必要です。
CKD(慢性腎臓病)が「じわじわ進む」タイプなら、AKI(急性腎障害)は「急に悪くなる」タイプです。
AKIは、数日〜1週間という短期間で腎機能が急激に低下する可能性があります。

これらに当てはまる場合は、様子を見ずに、早めに医療機関を受診してください。
🔸CKDの重症度は「eGFR」と「アルブミン尿」で決まる
CKDの重症度は、国際的に「G(eGFR)とA(アルブミン尿)の組み合わせ」で評価されます。アルブミン尿は、尿の中にどれくらい「アルブミン」というタンパク質が出ているかを調べる検査です。
<eGFRの段階>
G1:eGFR 90以上(正常または高値)
G2:eGFR 60〜89(軽度低下)
G3a:eGFR 45〜59(軽度〜中等度低下)
G3b:eGFR 30〜44(中等度〜高度低下)
G4:eGFR 15〜29(高度低下)
G5:eGFR 15未満(末期腎不全)
<アルブミン尿の段階>
A1:30mg/gCr未満(正常〜軽度増加)
A2:30〜300mg/gCr(中等度増加)
A3:300mg/gCr超(高度増加)
この2つを組み合わせて、「G3a・A1」とか「G4・A3」のように表現します。
GとAの両方が悪いほど、将来の腎臓病リスクが高くなります。
だから、「eGFRがいくつか」だけでなく、「尿蛋白/アルブミン尿がどうか」も必ず確認するんですね。
🔸受診する目安
🌀 結局どのくらいの数値だったら受診すればいいの?
このように迷った時は、日本のガイドラインで示されている「受診の目安」を参考にしてみましょう。
項目 | 基準 | 説明 |
|---|---|---|
尿蛋白 | 1+以上 | 腎臓からタンパク質が漏れているサイン |
尿蛋白 | ±(偽陽性)が2年連続 | 軽度でも続いている場合は確認が必要 |
eGFR(40歳以上) | 45未満 | CKD重症度で「G3b」以降に該当 |
eGFR(40歳未満) | 60未満 | 若年者では正常値の基準をより厳しく設定 |
たとえば、eGFR50はCKD重症度分類で「G3a」に該当し、「軽度〜中東度の腎機能低下」になります。
40歳以上の方なら、すぐに受診が必須とは限りませんが、尿検査(蛋白やアルブミン)と合わせて評価することが大切です。
ここで覚えておいてほしいのは…
eGFRの数字だけで判断しない。尿検査(蛋白/アルブミン)とセットで見る。
ということです。
eGFRが同じ50でも、尿蛋白が出ていない人と、たくさん出ている人では、将来のリスクが全然違うんです。
🔸腎臓内科への紹介=末期、ではない
🌀 腎臓内科を紹介されたら、もう手遅れってこと?
いいえ、全然そんなことはありません!
むしろ最近は、「早めに専門家と連携して、進行を遅らせよう」という考えが主流になっています。
最新のガイドラインでは、「5年後に腎不全になるリスクが3〜5%以上」の場合に腎臓内科への紹介を検討する、という考え方が示されています。
「もうダメだから紹介」ではなく、「今のうちに介入すれば、進行を遅らせられるから紹介」なんです。
紹介されたら落ち込むのではなく、「早めに対策できるチャンス」と捉えてくださいね。
当院では、総合診療の観点から幅広い内科疾患に対応しています。
健診で受診を勧められた場合は、お気軽にご相談ください。
🔸受診したら確認すること(患者さん用チェックリスト)
受診時に確認されること、準備しておくと良いことをまとめますね。
【受診時に確認されること】

【患者さんが準備しておくと良いもの】
過去の健診結果(できれば数年分)
お薬手帳
最近の体調の変化メモ
これらを準備しておくと、診察がスムーズに進みます。
🔸数字だけで不安にならないで
今回お伝えしたかったのは、「腎臓病かどうかは1回の検査で決まるわけではない」ということです。
eGFRが低かったり、クレアチニンが高かったりしても、それだけで直ちに「腎臓病」や「透析が必要」と心配しすぎる必要はありません。
大切なのは…
✅️ 数値の異常が3か月以上続いているかを確認する
✅️ 尿検査(蛋白/アルブミン)とセットで評価する
✅️ 急な悪化のサインがないかチェックする
✅️ 必要なら早めに専門家と連携する
当院では、健診で「腎機能が低い」と言われた方の精密検査や経過観察に対応しています。
🌀 この数値、放置していいの?
🌀 どこまで検査が必要?
そんな疑問があれば、遠慮なくご相談ください。
数字の向こうにある、あなたの健康を一緒に守っていきましょう。
みなさまが「ご機嫌な毎日」を過ごせますように!
少しでも参考にしていただければうれしいです。
では、次回のコラムもお楽しみに!
▼関連コラム
【参考文献】
Chapter 1: Definition and classification of CKD. Kidney International Supplements, 2013, 3巻, 1号, p.19-62
KDIGO 2024 Clinical Practice Guideline for the Evaluation and Management of Chronic Kidney Disease
日本腎臓学会.エビデンスに基づくCKD診療ガイドライン2023
KDIGO 2024 CKD Guideline Executive Summary
KDIGO 2012 Clinical Practice Guideline for Acute Kidney Injury