公開日
2026.6.13
更新日
2026.6.12
総合診療
その咳・鼻づまり、風邪じゃないかも?梅雨どきのカビとダニの話

こんにちは!リベ大総合クリニック大阪院 院長の大岩です。
そろそろ梅雨の季節がやってきますね。
🌀 梅雨に入ると、なぜか咳が続く…
🌀 鼻づまりがあって風邪かなと思うけど、熱はない…
🌀 部屋にいると咳が出るのに、外に出ると楽になる気がする
こんな経験はありませんか?
「梅雨どきは体調を崩しやすい」とは、よく言われることです。しかし、その咳や鼻づまりの原因は、家の中のカビやダニかもしれません。
今回のコラムでは、梅雨に増えるカビとダニが引き起こす症状と、今日からできる予防策、そして受診したほうがよい目安について、お話ししていきます。
🔸 梅雨どきの咳・鼻づまりは、カビとダニが原因かも

梅雨の時期に咳や鼻づまりが長引くときは「室内環境」が原因かもしれません。
梅雨の特徴は、高温多湿です。気象庁のデータによると、梅雨どきだった2025年6月の大阪の平均気温は25.4℃で、平均湿度は69%でした。
ジメジメとした空気は、不快なだけではありません。「気温20〜30℃・湿度60%以上」という、カビとダニがもっとも増えやすい条件なのです。
カビもダニも、目には見えにくい存在です。空気中には、気づかないうちにカビの胞子やダニの糞・死がいが漂っています。これらを吸い込んでしまうと、咳や鼻づまりが起こることがあります。
ここからは、カビとダニがそれぞれどんな症状を引き起こすのか、詳しく見ていきましょう。
🔸 カビで起こる咳・鼻づまり
カビは増えるときに「胞子」という、とても小さな粒を空気中に飛ばします。植物でいう種のようなものです。この胞子を人間が吸い込むと、身体が異物として受け取り、さまざまな反応を起こします。
胞子を吸い込んだときに起こる代表的な症状が、咳や鼻づまりです。のどの違和感や目のかゆみ、皮膚の発疹が出る方もいます。
また、カビは喘息(ぜんそく)にも関わっていると知られています。WHO(世界保健機関)も、湿気やカビのある住まいでは、咳や痰といった呼吸器症状や喘息を発症するリスクが高まると報告しています。
カビは、浴室だけに潜んでいるわけではありません。エアコンの内部、窓のサッシ、押し入れの奥、壁紙の裏など、気づきにくい場所で増えていることが多いものです。
🔸 ダニで起こる鼻炎・喘息
ダニと聞くと「刺されてかゆくなるもの」というイメージがあるかもしれません。しかし、室内でアレルギーの原因になりやすいチリダニ(ヒョウヒダニ)は、人を刺すダニではありません。
問題になるのは、ダニそのものに刺されることではなく、ダニの糞や死がいです。
これらが空中に舞い上がり、鼻やのどから体に入ると、気道や鼻の粘膜でアレルギー反応が起こることがあります。その結果、咳や鼻水・鼻づまりなどの症状につながるのです。
また、ダニの糞や死がいは、通年性のアレルギー性鼻炎や気管支喘息、アトピー性皮膚炎、アレルギー性結膜炎に関わることもあります。子どもの頃に発症する喘息の大半は、ダニを原因とするアトピー型と言われています。
さらに、ダニによる被害には「時差」があるのが特徴的です。
梅雨から夏に増えたダニは、秋に気温が下がると死んでいきます。そして、その糞や死がいが乾燥して空中に舞い上がってくるため、喘息やアレルギー性鼻炎が悪化しやすくなります。
つまり、梅雨の時期にダニ対策をしておくことは、秋のアレルギー症状の悪化を防ぐことにもつながるのです。
🔸 今日からできるカビ・ダニ対策

🌀 「自分の咳や鼻づまりも、カビやダニのせいかもしれない…」
ここまでお読みになって、そう感じた方もいるかもしれません。カビやダニによる影響が気になる方は、まず家の中を整えることから始めてみましょう。
カビやダニによる被害を防ぐには「室内の湿度を下げること」が大切です。今日からできる対策を3つご紹介しますので、参考にしてみてください。
① 湿度のコントロール
ダニとカビは、どちらも湿気の多い環境を好むため、室内の湿度は50%以下に保つことが効果的です。
「部屋の湿度を測ったことがない!」という方も多いかもしれません。湿度計は数百円ほどで手に入るので、まずは今の室内環境を知ることから始めてみてください。
湿度が高いときは、エアコンの除湿モードや除湿機を使って下げていきます。特に寝室やクローゼットなど、湿気がこもりやすい場所は、意識して湿度をコントロールしましょう。
ダニ対策で特に意識したいのが、寝室です。なかでも寝具は、汗による湿気がこもりやすく、体温で温かくなりやすい場所です。さらに、ダニの餌になる皮膚の汚れもつきやすいため、ダニが増えやすい環境になりやすいとされています。
そのため、シーツや枕カバーは週1回を目安に洗いましょう。布団は、布団乾燥機などを使って湿気を飛ばすことも大切です。布団乾燥機がない場合は、防ダニタイプの布団カバーを取り入れることも効果があると言われています。
また、梅雨どきは洗濯物の部屋干しが増えがちです。部屋干しは室内の湿度を上げてしまうので、エアコンの除湿機能や除湿機、サーキュレーターをあわせて使い、湿気がこもらないように工夫しましょう。
② 換気
カビの胞子やダニの微粒子は、室内の空気中に漂っています。梅雨の時期でも、雨が降っていない時間帯に1日2回ほど窓を開けて、空気を入れ替えてみましょう。短い換気をくり返すだけでも効果が期待できます。
③ カビの予防・除去
カビは、生やさないための予防も大切です。
◻︎ 浴室の壁や天井は、こまめに掃除して乾燥させる
◻︎ エアコンのフィルターは月1回を目安に清掃する
◻︎ 窓のサッシやゴムパッキンの結露は、こまめに拭き取る
湿気や汚れをためこみやすいカーペットや布製ソファは、ダニやカビが潜みやすくなってしまいます。こまめな掃除が難しい場合は、革・合成皮革など、表面を拭き取れる素材に替えるのも一つの方法です。
もしカビが生えてしまったときは、早めに取り除きましょう。
🔸 こんな症状は早めに受診を
咳や鼻づまりがなかなか改善しない場合は、以下の目安を参考に早めの受診をおすすめします。
特に「外に出て楽になる咳や鼻づまり」がある場合は、室内のカビやダニが関係しているかもしれません。

カビやダニによる症状を放置していると、喘息の発症につながることがあります。また、長引く咳の裏に、肺炎など別の病気が隠れていることもあります。
気になるサインがあれば、早めに確認しておくと安心です。
🔸 まとめ|つらい梅雨を変えよう
梅雨どきの咳や鼻づまりは、家の中のカビやダニが原因になっていることもあります。
🌀 梅雨になると咳が続く
🌀 鼻づまりがなかなか治らない
🌀 部屋にいると咳が出る
こうした症状が気になる方は、お気軽にご相談ください。
当院では、血液検査や呼気NO検査で原因と気道の状態を調べ、その原因に応じて抗ヒスタミン薬や点鼻ステロイド薬、吸入ステロイド薬などで症状をやわらげる治療を行っています。
ダニアレルギーには、体質そのものにはたらきかける舌下免疫療法という選択肢もあります。
「梅雨は毎年つらいもの」とあきらめてしまう前に、一度、原因を確かめてみませんか。
少しでも参考にしていただければうれしいです。
では、次回のコラムもお楽しみに!
【参考文献】
WHO. Guidelines for indoor air quality: dampness and mould. WHO Regional Office for Europe. 2009.
CDC. About Mold. 2024.
CDC/NIOSH. Preventing occupational respiratory disease from exposures caused by dampness in office buildings, schools, and other nonindustrial buildings. DHHS (NIOSH) Publication No. 2013-102.
Fisk WJ, Lei-Gomez Q, Mendell MJ. Meta-analyses of the associations of respiratory health effects with dampness and mold in homes. Indoor Air. 2007;17(4):284-296.
Mendell MJ, Mirer AG, Cheung K, et al. Respiratory and allergic health effects of dampness, mold, and dampness-related agents: a review of the epidemiologic evidence. Environ Health Perspect. 2011;119(6):748-756.
厚生労働省. 成人喘息の疫学、診断、治療と保健指導、患者教育.
愛知県衛生研究所. 居住環境のダニとダニアレルゲン.