公開日
2026.6.5
更新日
2026.6.5
総合診療
片足だけ急に腫れたら要注意|医師が解説するむくみの危険サインと見分け方

こんにちは!リベ大総合クリニック大阪院 院長の大岩です。
🌀 夕方になると足がパンパンで靴がきつい
🌀 最近、靴下の跡がなかなか消えないんだよね
🌀 片方の足だけ急に腫れてるんだけど、これって何?
そんなお悩み、外来でもよくお聞きします。足のむくみはよくある症状ですが、中には早めの受診が必要なむくみもあります。
危ないむくみを見分けるカギは「片足か両足か」「急にかゆっくりか」という2つのポイントです。一緒に確認していきましょう。
🔸 そもそも「むくみ」って何が起きてるの?
むくみとは、「皮膚の下に余分な水分がたまった状態」です。医学的には「浮腫(ふしゅ)」と呼びます。
体内では、血管の中の水分と、血管の外(間質)の水分が、常にバランスを取りながらやり取りしています。このバランスが崩れて間質に水分が過剰にたまった状態が「むくみ」です。

バランスが崩れる原因はさまざまですが、大きく分けると次の4タイプがあります。
・静脈性:静脈の流れが悪くなって、水分が戻りにくくなる
・全身性:心臓・腎臓・肝臓など全身の問題で水分がたまりやすくなる
・リンパ性:リンパの流れが悪くなる
・炎症性:炎症や感染で血管から水分が漏れ出す
ただ、同じ「むくみ」でも、原因によって「様子を見てもよいもの」と「急いで受診すべきもの」があります。
🔸 むくみを見たら最初に考える2つのポイント
むくみを見たときは、まず2つの点を確認しましょう。
① 「片足」か「両足」かで原因が変わる
片足だけのむくみは、その足の局所的なトラブル(血管の詰まり、感染、リンパの流れの悪化)が原因のことが多いです。両足のむくみなら、心臓・腎臓・肝臓・甲状腺などの全身の問題か、両足の静脈うっ滞(流れが滞った状態)を考えましょう。
② 「急に」か「ゆっくり」かで緊急度が変わる
元々むくみがなく、72時間以内に急に腫れたら、深部静脈血栓症(DVT)や蜂窩織炎(ほうかしきえん/皮膚の感染症)など緊急性の高い病気を疑います。数週間〜数か月かけてじわじわとむくむ場合は、静脈うっ滞・心不全・腎臓病・薬の副作用などが背景にあることが多いです。
急に(数時間〜数日) | ゆっくり(数週間〜数カ月) | |
|---|---|---|
片足 | 深部静脈血栓症・蜂窩織炎 | リンパ浮腫・下肢静脈瘤 |
両足 | 急性心不全の悪化など | 静脈うっ滞・心不全・腎臓病 |
このように整理すると、特に注意が必要なのは「片足×急に」の組み合わせです。
🔸 片足が急に腫れたら「深部静脈血栓症(DVT)」かも
片足だけが急に腫れたとき、まず考えてほしいのが深部静脈血栓症(DVT)です。足の深い位置にある静脈に、血のかたまり(血栓)ができることで起こります。
特に怖いのが、足にできた血栓がはがれて血流に乗り、肺の血管に詰まってしまうケースです。これは「肺塞栓症(はいそくせんしょう)」と呼ばれ、重症になると命に関わることもあります。
DVTで現れやすいサインはこちらです。

特にDVTのリスクが高いのは、最近手術や入院で長く寝ていた方、長時間同じ姿勢が続いた方、がんの治療中・妊娠中・産後・脱水気味の方です。
DVTは見た目だけでは確定できません。その理由は、ふくらはぎが腫れる病気には、蜂窩織炎や筋肉の損傷、ベーカー嚢胞(のうほう/膝裏にできる袋)の破裂など、よく似た症状を出すものが他にもあるからです。片足だけが急に腫れたら自己判断せず、早めに受診してください。
🔸 受診したら何を調べる?検査の3ステップ
「片足が急に腫れた」と来院された場合、当院では次のステップで評価していきます。
① DVTの可能性をチェック(Wellsスコア)
がん治療中か、最近手術をしたか、足の腫れ方はどうかなど、いくつかの項目を点数化して「DVTの可能性が高いかどうか」を判断します。
② 血液検査(Dダイマー)
Dダイマーは、体内で血栓ができて溶けたときに出てくる物質を測る指標です。WellsスコアでDVTの可能性が低いと判断された方は、Dダイマー陰性ならDVTはほぼ否定できると報告されています。
③ 下肢静脈エコー(超音波検査)
超音波で足の静脈を観察し、血栓の有無を検査します。痛みのない検査で、その場で診断できるのが利点です。
🔸 両足がむくむときに考えること
両足が同じようにむくむときは、心臓・腎臓・肝臓など全身の病気か、足の静脈の流れが滞る「静脈うっ滞」の可能性があります。
この中でも静脈うっ滞は、足の静脈の弁が壊れて血液がうまく心臓に戻れず、足にたまってしまう状態です。以下の特徴がみられる場合は、むくみの原因の一つとして静脈うっ滞が疑われる場合があります。
・夕方になると悪くなる
・立ち仕事で悪化する
・足を上げると楽になる
ただし、「両足のむくみ=静脈うっ滞」と決めつけるのは危険です。実際、両足のむくみを訴えた人を調査したところ、最終的に静脈うっ滞と診断されたのは22%にとどまりました。中には、心疾患や肺高血圧症などの病気が原因だったケースも報告されています。
<両足のむくみで一緒に確認したい症状>
考えられる病気・原因 | 一般に見られやすい症状 |
|---|---|
心不全 | 息切れ、横になると苦しい、急な体重変化 |
腎臓病 | 朝のまぶたのむくみ、尿の泡立ち、血圧上昇 |
肝臓病 | お腹の張り、黄疸(皮膚や白目が黄色くなる)、手のひらの赤み |
甲状腺機能低下症 | 疲れやすい、寒がり、便秘 |
薬の副作用 | 降圧薬(カルシウム拮抗薬)、痛み止め(NSAIDs)などの服用 |
むくみだけでなく、こうした症状が一緒に出ていないか、ぜひ一度確認してみてくださいね。
🔸 すぐ受診すべき「危険サイン」チェックリスト
ここまで解説した内容をもとに、受診の目安を図解にまとめました。

むくみの原因はさまざまで、見た目だけで判断することはできません。「いつもと違う」「なんとなく不安」と感じる場合は、早めに医療機関へ相談してください。
🔸 まとめ|むくみは「片足か両足」×「急にかゆっくり」で考える
最後に今日のポイントをまとめます。
・むくみは「片足/両足」×「急に/ゆっくり」の2つのポイントでまず分ける
・片足が急に腫れたら深部静脈血栓症(DVT)を疑う
・両足のむくみは静脈うっ滞が多いが、心臓・腎臓の病気が隠れることもある
「たかがむくみ」と思いがちですが、その症状は体が発している大切なサインかもしれません。
当院では、足のむくみの原因を循環器・内科の両面から総合的に診ています。「気になるけど、病院に行くほどかな…」と迷われている方も、お気軽にご相談くださいね。
少しでも参考にしていただければうれしいです。 では、次回のコラムもお楽しみに!
【参考文献】
Wells PS, Anderson DR, Rodger M, et al. Evaluation of D-dimer in the diagnosis of suspected deep-vein thrombosis. N Engl J Med. 2003;349(13):1227-1235. doi:10.1056/NEJMoa023153.
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