公開日
2026.7.10
更新日
2026.7.9
健康習慣
体力があると長生きは本当?VO2maxと寿命の関係も解説

こんにちは!リベ大総合クリニック大阪院 院長の大岩です。
🌀 スマートウォッチに出る「VO2max」って、何?
🌀 VO2maxは寿命と関係あるって聞いたけど、本当?
🌀 体力があると長生きできる?
近年、Apple WatchやGarminなどで「VO2max」という数値を目にするようになりました。
VO2maxは、体力(心肺のスタミナ)を映し出す数値のひとつです。そして近年、このVO2maxは、将来の健康や死亡リスクとの関連が報告されるようになっています。
とはいえ、本当に関係があるのか、あるとしたら何をすればいいのか、気になっている方も多いのではないでしょうか。
そこで、今回のコラムでは、体力と寿命の関係性や、体力の保ち方について、医師の視点で解説していきます。
🔸 VO2maxとは?

VO2max(ブイオーツーマックス)とは、運動しているときに身体が取り込んで使える酸素量の上限のことです。日本語では「最大酸素摂取量」と呼ばれます。
VO2maxが示すこと
VO2maxの数字が大きいほど、身体がたくさんの酸素を取り込み、その酸素をうまく使えていることを示します。ただし、身体が酸素をうまく使えるかは、ひとつの臓器の状態だけで決まるわけではありません。
✅ 心臓が血液をしっかり送り出せる
✅ 肺が酸素を十分に取り込める
✅ 血管がスムーズに酸素を届けられる
✅ 筋肉が酸素をしっかり使える
VO2maxは、これらの4つがそろって、高い数値になります。
数字が大きいほど、酸素を取り込んで使う力が高い、いわば「体力(心肺体力)が高い」状態だと考えられています。
スマートウォッチの数値の見方
VO2maxを正確に測るには、医療機関での専用の検査が必要です。そのため、スマートウォッチが表示するのは、その簡易版といえる「推定値」です。
日々の数字には多少のブレがあるので「先週より下がった」などと気にしすぎず、数ヶ月単位の傾向を眺めるような使い方がおすすめです。
🔸 体力がある人ほど長生き?
「VO2maxが高いと、長生きするらしい」
そう聞いたことがある人もいるかもしれません。実は、体力と寿命の関係性については、世界中で様々な研究が行われています。
デンマークで約5,100人を46年間追いかけた調査では、体力が最も高いグループは、最も低いグループより平均で4.9年長生きしていました。VO2maxが1(mL/kg/分)高いことが、平均生存期間が約45日長いことと関連していた形です。
同じ傾向は、もっと大きな規模の研究でも見られています。
10万人以上を分析した研究では、体力がひと段階(1MET)上がることが、全死亡リスク、つまり原因を問わず亡くなるリスクが約13%低いことと関連していました。
ただし、これらはいずれも「体力が高い人は長生きだった」という関係を観察した研究です。体力を上げれば必ず寿命が延びると、言い切れるわけではありません。
それでも、多くの研究が同じ方向の結果を示しています。
🔸 体力を保つ・高めるには?

体力が長生きと関わると知ったら、次に気になるのは「その体力をどう保つか」ではないでしょうか。
答えは、やはり運動です。
ここからは、無理なく続けられる運動のポイントを見ていきましょう。
まずは有酸素運動を十分に
体力づくりの土台になるのが、ウォーキングやジョギングなどの有酸素運動です。
厚生労働省の「健康づくりのための身体活動・運動ガイド2023」では、歩行またはそれと同等以上の身体活動を1日60分以上、そのうち息が弾み汗をかく程度の運動を週60分以上行うことがすすめられています。
WHOのガイドラインでも、成人には中強度の有酸素運動なら週150〜300分がすすめられています。「中強度」とは、少しきついものの、まだ会話ができる程度の運動です。たとえば、早歩きや軽いサイクリングが該当します。
運動に慣れていない人は、強さよりも「量」を意識してみましょう。
通勤で歩く
階段を使う
散歩に出る
最初は、こうした小さな積み重ねをするだけでも十分です。「まったく動かない」のと「少しでも動く」の差は大きいものです。
筋トレを週2回
有酸素運動とあわせて取り入れたいのが、筋トレです。WHOも厚生労働省も、筋力トレーニングを週2回以上行うことをすすめています。
筋トレの効果は、筋力の維持だけではありません。血糖のコントロールや骨の健康を支える働きもあり「筋力を高める活動が、生活習慣病や死亡リスクの低下と関連する」という報告もあります。
スクワット、腕立て伏せやプランク(膝をついてもかまいません)などの運動を、週2回、各10回ずつからでも始めてみましょう。

座りっぱなしをこまめに分断
運動と同じくらい見落とせないのが、座っている時間です。運動習慣があっても、日中ずっと座っていると死亡リスクが高まるという報告があります。
デスクワークなどで座っている時間が多くなる人は「30分に1回、立ち上がる」を意識してみましょう。座っている時間を、こまめに区切ることが大切です。
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短い時間で心肺を鍛えるHIIT
近年、運動の仕方として「HIIT(ヒット)」という、きつめの運動と短い休憩を交互にくり返すトレーニングが注目されています。
HIITのメリットは、短い時間で心肺に強い刺激を入れられることです。ある研究によると、HIITは「中強度の運動と比べてVO2maxをより大きく改善した」と報告されています。
ただし、長生きしたいからといって、必ずHIITを選ぶ必要はありません。普段運動していない人がいきなり高強度に取り組むと、身体への負担が一時的に大きくなることも知られています。
特に、心臓や血圧に持病のある方、運動中に胸の痛みやめまいを感じる方は、本格的な運動をする前に医師へ相談しましょう。
🔸 まとめ|続けられる運動をしていこう
体力が高いことと長生きしやすいことの関連性は、多くの研究で一貫して示されています。そして、体力を保つためには、適度な運動が欠かせません。
運動で大事なのは、十分な運動量を年単位で続けることです。まずは、座りっぱなしをこまめに分断する。そして、有酸素運動で動く量を確保し、そこに週2回の筋トレを足すことに挑戦してみてください。
🌀 自分に合った運動量を知りたい
🌀 持病があるけれど、どこまで運動していい?
そんな方は、お気軽にご相談ください。
リベ大総合クリニック大阪院は、身体全体を見わたす総合診療を行っています。高血圧や糖尿病などの生活習慣病の治療とあわせて、運動についても一緒に考えていきましょう。
少しでも参考にしていただければうれしいです。 では、次回のコラムもお楽しみに!
【参考文献】
Kodama S, Saito K, Tanaka S, et al. Cardiorespiratory fitness as a quantitative predictor of all-cause mortality and cardiovascular events in healthy men and women: a meta-analysis. JAMA. 2009;301(19):2024-2035.
Clausen JSR, Marott JL, Holtermann A, et al. Midlife Cardiorespiratory Fitness and the Long-Term Risk of Mortality: 46 Years of Follow-Up. J Am Coll Cardiol. 2018;72(9):987-995.
門間陽樹ほか. 筋力向上活動は主要な非感染性疾患の低リスク・死亡率と関連する(二次出版). 運動疫学研究. 2022;24(2).
Poon ETC, Sheridan S, Chung APW, et al. High-intensity interval training and cardiorespiratory fitness in adults: An umbrella review of systematic reviews and meta-analyses. Scand J Med Sci Sports. 2024;34(5):e14652.
Bull FC, Al-Ansari SS, Biddle S, et al. World Health Organization 2020 guidelines on physical activity and sedentary behaviour. Br J Sports Med. 2020;54(24):1451-1462.
Ekelund U, Steene-Johannessen J, Brown WJ, et al. Does physical activity attenuate, or even eliminate, the detrimental association of sitting time with mortality? Lancet. 2016;388(10051):1302-1310.
厚生労働省. 健康づくりのための身体活動・運動ガイド2023. 令和6年1月.