公開日
2026.3.20
更新日
2026.3.18
総合診療
風邪で点滴すると早く治る?期待できる効果、本当に必要なケースとは

こんにちは!リベ大総合クリニック大阪院 院長の大岩です。
🌀 風邪をひいたから、点滴で早く治したい…
🌀 前に点滴をしてもらったら、すごく元気になったんだけど…
🌀 ビタミンの点滴って本当に効くの?
風邪で受診されたとき「点滴をしてほしい」とおっしゃる方は少なくありません。しかし、風邪の方に点滴をしても、風邪が早く治るわけではないのです。
今回は、風邪の原因や治療、風邪のときに点滴をする効果についてご紹介します!
🔸 風邪で点滴をすると早く治る?
風邪(かぜ症候群)とは、鼻からのどにかけて急性の炎症が起き、発熱・咳・鼻水・のどの痛みなどの症状があらわれる病気です。
基本的に、風邪で点滴をしても早く治ることはありません。
「ビタミン入りの点滴なら効くのでは?」と思われた方もいるかもしれません。
日常的にビタミンCを摂取している人であれば、風邪の症状が出る期間がやや短くなったり、症状がやや軽くなる可能性があるようです。ところが、風邪の症状が出てからビタミンCを摂取しても、回復を早める効果は期待できないと報告されています。
🔸 風邪の原因と治療
風邪の80〜90%は、ウイルスが原因だと言われています。
風邪を引き起こすウイルスの種類は、非常に多く存在します。また、原因となるウイルスを特定できないケースが多いこともあり、現在のところ風邪に対する特効薬は存在しません。
そのため、風邪の治療は「対症療法」といって、次のように、つらい症状を楽にすることが中心になります。
熱を下げる
咳を抑える
鼻水を抑える
のどの痛みを和らげる
ドラッグストアなどで販売されている「風邪薬」も、あくまで症状を軽くするものであり、風邪そのものを治すわけではありません。
風邪が治るのは、身体の免疫が働いてウイルスを体の外へ追い出すからです。通常、風邪の症状は1週間ほどで自然に回復します。
🔸 風邪で点滴の効果が期待できるケース
風邪のときに点滴をして期待できる効果は、脱水の改善です。
風邪で発熱すると汗をかき、身体から水分やミネラルが失われます。さらに、食欲が落ちて食べたり飲んだりできなくなると「脱水状態」になり、強いだるさや立ちくらみなどの症状があらわれることがあります。
こうした状態で、点滴から水分やミネラルを補うと、だるさや立ちくらみの改善が期待できます。

風邪で点滴を検討する状況とは
私たちは、普段、食事や飲み物から水分やミネラルを摂取しています。
風邪のときに「経口補水液(OS-1など)」を飲む方もいらっしゃるかもしれませんが、点滴と経口補水液の成分は、ほとんど同じです。
つまり、風邪をひいたときも、普段のように食べたり飲んだり、経口補水液を飲めていれば、点滴をしなくてもいいケースがほとんどということです。
ただし、次のような状態のときには、点滴を検討します。
< 点滴を検討する状況 >
□ 嘔吐が続いて食べられない
□ のどが痛すぎて飲み込めない
□ 脱水のサインがある
・尿がほとんど出ない
・口の中がカラカラ
・立ちくらみがひどい
・だるさがひどい
□ 脱水のリスクが高い、高齢者や持病がある人
点滴は、水分やミネラルを直接血管に届けます。そのため、口から摂るよりも早く効果が出やすく「点滴したら元気になった」と感じやすいのかもしれません。
🔸 風邪のときに点滴をするデメリット
風邪で点滴を考えている方に、あらかじめ知っておいてほしいことがあります。それは、医療行為である以上、デメリットも存在するということです。

点滴によって感染を引き起こす頻度は高くありませんが、ゼロではありません。
飲んだり食べたりできる状態にもかかわらず点滴をすると、時間・費用・リスクをすべて余分に負ってしまうことになります。
「とにかく点滴をしてほしい!」と思う方もいらっしゃるかもしれませんが、医師は点滴のメリットとデメリットを慎重に見極めたうえで判断しています。
🔸 点滴をする前にできること
風邪になったときは、すぐ点滴に頼るのではなく、まずは自宅でできるケアを大切にしましょう。次のような点を意識してみてください。
① しっかり休む
睡眠や休息は、免疫を働かせて身体を回復させるためにとても大切です。無理して動くと回復が遅れることもあるため、できるだけ身体を休めましょう。
② こまめに水分を摂る
一度にたくさん飲むより、少量をこまめに飲む方が身体への負担が少ないとされています。水やお茶のほか、ミネラルも補給できるスポーツドリンクや経口補水液なども活用しましょう。
発熱していると、汗で多くの水分が失われます。普段より多めの水分摂取を意識することも大切です。
③ 解熱鎮痛薬を適切に使う
熱がつらい、頭痛がひどい、のどが痛いといったときは、アセトアミノフェンやイブプロフェンなどで症状を和らげます。市販薬を使う場合は、説明書をよく読んで、用法・用量を守りましょう。
④ 加湿する
乾燥すると、のどや鼻の粘膜を傷めやすくなります。加湿器や濡れタオルを活用して、乾燥しすぎないように注意しましょう。
⑤ 栄養を摂る
無理に食べる必要はありませんが、おかゆ、うどん、果物など、消化のよいものを少しずつ取り入れましょう。食欲がないときは、スープやゼリーでも構いません。
🔸 風邪で早めに受診すべきサインとは?
「風邪だろう」と思うときでも、次のような症状には注意が必要です。
【早めに受診すべきサイン】
□ 息苦しさがある
□ 胸の痛みがある
□ 意識がぼんやりしている
□ 水分を全く摂れない状態が続く
□ 数日経っても悪化している
□ 高熱が4〜5日以上続く
これらは肺炎など、より重い病気のサインである可能性があります。気になる症状があれば、自己判断せずに早めに医療機関を受診しましょう。
🔸 まとめ|風邪の点滴は脱水改善のための手段です
風邪になったときに「点滴してほしい」と思う気持ちはよくわかります。ただ、点滴は万能薬ではありません。
医師は、患者さん一人ひとりに対して「本当に必要な治療は何か」を考えて判断していることを、ご理解いただけるとうれしいです。
リベ大総合クリニック大阪院は、特定の部位や病気に限らず、身体を総合的に診て原因を探る「総合診療」を行っています。
🌀「なんとなく体調が悪い…」
🌀「複数の症状があって不安…」
そんなときは、お気軽にご相談ください。
少しでも参考にしていただければうれしいです。 では、次回のコラムもお楽しみに!
参考文献
一般社団法人日本呼吸器学会.呼吸器の病気 A.感染性呼吸器疾患 かぜ症候群
厚生労働省.eJIM(evidence-based Japanese Integrative Medicine).ビタミンC
Fashner J, et al. Treatment of the Common Cold. American Family Physician 2019.
MedlinePlus: Common Cold
NHS: Common cold
NICE Clinical Guideline 174: Intravenous fluid therapy in adults in hospital
Helm RE, et al. Accepted but unacceptable: peripheral IV catheter failure. Journal of Infusion Nursing 2019.
Hemilä H, Chalker E. Vitamin C for preventing and treating the common cold. Cochrane Database of Systematic Reviews 2013.