公開日
2025.11.23
更新日
2026.1.13
胃腸の疾患
何を飲んでも吐く…つらい胃腸炎を乗り切る!大人の水分補給のコツ
こんにちは!リベ大総合クリニック大阪院 院長の大岩です。
このコラムをご覧になっている方は、次のようなお悩みがあるのではないでしょうか。
🌀 何を飲んでも吐いてしまう
🌀 ポカリを飲んでるのに治らない
胃腸炎は、本当につらいですよね。
大人の方でも、胃腸炎になると水分がうまく取れずに悩むことがあります。
そこで、今回のコラムでは、つらい胃腸炎を少しでもラクに乗り切るための「正しい水分補給の方法」をご紹介していきます!
🔸胃腸炎のときは脱水に注意!
胃腸炎は、急な吐き気や嘔吐で始まり、食べたり飲んだりするのが難しくなります。
しかし、何も口にしないでいると、体の水分が失われて脱水につながりやすくなります。
胃腸炎のときは、脱水を防ぐために「できる範囲で水分を摂る必要がある」ことを覚えておきましょう。
ポカリより経口補水液を選ぼう
「ポカリ(ポカリスエット)を飲んでいるから大丈夫でしょ?」
そう誤解している方が多くいます。
しかし、ポカリスエットなどのスポーツドリンクは、脱水のときに必要な栄養素と比較すると「塩分(ナトリウム)」が少なく「糖分」が多すぎます。
胃腸炎のときに必要なのは、経口補水液です。
経口補水液は、水・電解質・糖分のバランスが調整されています。胃腸炎による脱水時の飲み物としても推奨されており、軽〜中等度の脱水では点滴よりも効果的だと言われます。
「OS-1」や「アクアライトORS」といった経口補水液は、薬局やドラッグストアで手軽に購入できます。
🔸胃腸炎のときの水分の取り方:3つの鉄則
胃腸炎のときは「どんな飲み物を選ぶか」だけでなく「どう飲むか」も大切です。
ここでは、胃腸炎の回復を早めるための水分補給の方法を紹介します。
少量ずつ頻繁に飲む
胃腸炎でつらいときに、一度にたくさん飲むのはやめましょう。
吐き気が強くなり、嘔吐を催してしまいます。
胃腸炎のときの水分補給は「少量ずつ、頻繁に」が基本です。
5分〜10分ごと、コップの1/4〜半分くらい(50ml〜100mL)を目安に、ゆっくり飲みましょう。
嘔吐しても諦めない
嘔吐してしまうと「もう飲まない方がいい」と思う方もいますが、よくある誤解です。
多くの場合、少量ずつ頻繁に飲んでいくことで、水分が摂れるようになります。
吐いてしまったあとは、10分ほど休んでから、より少ない量(30mlなど)で再チャレンジしてみましょう。
前回飲んだ量の半分くらいから始めてみてください。
下痢のたびに補う
嘔吐だけでなく、下痢でも水分と電解質(ナトリウムやカリウムなど)が失われます。
そのため、下痢をしたときは、500mLペットボトルの半分〜8割ほど(200ml〜400mL)を目安に、追加で水分を摂るようにしましょう。
🔸食事と薬の正しい知識
胃腸炎の回復を早めるには、食事の摂り方や薬の使い方についても、正しく理解しておくことが大切です。
食事の再開は早めに
昔は「胃腸を休ませるために食べない方がいい」と言われることがありましたが、絶食すると胃腸炎の回復が遅れることがわかっています。
水分が摂れるようになったら、早めに少しずつ食事を再開していきましょう。
まずは、消化にやさしい食べ物から始めるのがおすすめです。
<消化にやさしい食べ物の一例>
✅ おかゆ
✅ うどん
✅ バナナ
✅ ヨーグルト
一方で、次のような食べ物は避けた方が安心です。
❌ 脂っこいもの
❌ 辛いもの
❌ カフェインを含むもの
体調と相談しながら、少しずつ元の食事に戻すようにしましょう。
下痢止めは、水様便で発熱や血便がないときだけ
下痢は、体内に侵入したウイルスや細菌を排出するための防御反応です。
「胃腸炎のときは下痢止めを使わない方がいいのかな?」と思うかもしれませんが、状況によっては下痢止めを使ってもよい場合があります。
下痢止めを使えるのは、次のような状態のみです。
水のような下痢のとき
38℃以上の熱がない
便に血が混じっていない
これらの条件を満たす場合には、下痢止めを使うことで胃腸炎の症状が早く落ち着くこともあります。
一方で、38℃以上の熱がある場合や血便が出ている場合、下痢止めの使用は禁止です。
判断に迷う場合は、自己判断せず医師に相談しましょう。
🔸こんなときは迷わず受診を!
胃腸炎では、点滴や検査が必要になるケースもあります。
次のような症状があるときは、ためらわず病院を受診してください。
これらの症状があるときは、自宅で様子を見ていても悪化するおそれがあります。
適切な治療を受けることが大切です。
🔸正しい水分補給の方法を知り、胃腸炎の回復を早めよう
胃腸炎の回復を早めるには、正しい水分補給の方法を知っておくことが大切です。
次の5つのポイントを覚えておきましょう。
スポーツドリンクではなく経口補水液を選ぶ
少量ずつ頻繁に飲む(5分〜10分ごと)
吐いても10分休んで再開
下痢のたびに200ml〜400mL飲む
危険なサインがあれば迷わず受診
特に覚えておいてほしいのは「一気飲み」ではなく「ちびちび飲み」することです。
正しい水分補給を知っていれば、多くの場合、自宅で乗り切ることができます。
心配なときは、遠慮なく受診してください。
一緒に、つらい胃腸炎を乗り越えましょう。
では、次回のコラムもお楽しみに!
【参考文献】
Infectious Diseases Society of America. Clinical Practice Guidelines for Acute Infectious Diarrhea. Clin Infect Dis. 2017;65(12):e45-e80.
日本感染症学会・日本化学療法学会. JAID/JSC感染症治療ガイドライン2015―腸管感染症. 2015.
World Health Organization. The treatment of diarrhoea: a manual for physicians and other senior health workers. 2005.
国立感染症研究所感染症情報センター. 経口補水療法について. 2014.