公開日
2025.12.16
更新日
2026.1.13
胃腸の疾患
その腹痛、本当に「過敏性腸症候群」?見逃してはいけない危険サイン

リベ大総合クリニック大阪院 院長の大岩です。
🌀 ストレスがかかると決まって下痢になる…
🌀「過敏性腸症候群でしょう」と言われたけど、ちゃんと検査してもらっていない…
🌀 過敏性腸症候群がなかなか良くならない
このような経験をされている方はいませんか?
お腹の不調には、見逃してはいけない危険なサインが隠れていることがあります。
今回のコラムでは、過敏性腸症候群(IBS)の定義、危険なサインを一緒に確認していきましょう。
🔸そもそも「過敏性腸症候群(IBS)」とは?

過敏性腸症候群は「ストレスでお腹が痛くなる病気」というイメージがあるかもしれません。
しかし、これは半分は正解で、半分は誤解です。
国際的に最もよく使われている診断基準(Rome IV基準)では、次のように定義されています。
週に1回以上の腹痛が、3ヶ月以上続いていて
排便によって症状が変わる、または便の回数や形状が変化する
定義からわかる通り、過敏性腸症候群は「腸に明らかな病気がないのに、腹痛や便通異常が続く状態」を指します。
つまり、過敏性腸症候群(IBS)と診断するためには、腹痛の原因が他にないことを確認する必要があるのです。
🔸「とりあえずIBS」には注意!
検査を受けていない状態で「IBSでしょう」と言われた場合、別の病気が潜んでいるかもしれません。
過敏性腸症候群(IBS)と似た症状を起こす病気は、実はたくさん存在します。
似た症状を引き起こす病気
「お腹が痛い」「下痢と便秘を繰り返す」といった症状を起こす病気には、次のようなものがあります。
炎症性腸疾患(潰瘍性大腸炎、クローン病)
大腸がん、大腸ポリープ
甲状腺機能異常
セリアック病
感染性腸炎の後遺症
検査をせずに過敏性腸症候群と診断された場合、特に怖いのは本当は治療が必要な病気を見逃してしまうことです。
「ストレスのせいだと思っていたら、実は別の病気だった」というケースは、残念ながらゼロではありません。
🔸本当にIBS?今すぐ確認できるセルフチェックリスト
🌀 検査を受けていないけど、別の病気じゃないか心配…
そう思っている方は、チェックリストを確認してみましょう。
過敏性腸症候群よりも重篤な病気のサインのことを、医学的に「レッドフラッグ(危険信号)」と呼びます。
次のような症状は、見逃せないレッドフラッグです。
◻︎ ダイエットしていないのに体重が減ってきた
◻︎ 便に血が混じる、便が黒っぽい
◻︎ お腹の症状と一緒に熱が出る
◻︎ 夜中に腹痛や下痢で目が覚める
◻︎ 健診で貧血を指摘された、疲れやすい
◻︎ 50歳以上で最近になって急にお腹の調子が悪くなった
◻︎ 血縁者に大腸がん・炎症性腸疾患(IBD)の方がいる
一つでも当てはまる場合は、医療機関で検査を受けることをおすすめします。
血液検査や便検査で済むこともありますが、年齢やリスクに応じて、胃カメラ検査や大腸カメラ検査が必要になることもあります。
🔸大腸カメラ検査をしておくと安心!
レッドフラッグがない場合、危険な病気である可能性は低くなります。
ただし年齢や症状の経過によって、次のような方には一度は検査をしておくことをおすすめする場合もあります。
45〜50歳以上で初めて症状が出た方
症状が長く続いているのに、一度も検査を受けたことがない方
治療しても症状の変化がない方
特に大腸カメラ検査については「怖い」「恥ずかしい」「痛そう」というイメージがあるかもしれません。
しかし最近は、鎮静剤を使って眠っている間に検査を受けられる医療機関が増えています。
当院でも、できる限り苦痛なく受けていただけるよう工夫をしています。
検査をして問題なかったとしても、それは大切な安心材料になりますので、今まで検査をしていない人は、この機会にぜひ検討してみてください。
🔸過敏性腸症候群(IBS)の治療方法
検査で別の病気が否定され、過敏性腸症候群と診断された場合、
🌀「結局、治らないってこと…?」
このように心配される方もいますが、決してそんなことはありません。
過敏性腸症候群は、治らない病気ではなく「上手に付き合っていく病気」です。
「腸―脳相関」という考え方

過敏性腸症候群の治療を考える上で、最近、特に注目されているのが腸と脳の相関という考え方です。
腸と脳は神経でつながっており、相互に影響し合っています。
そのため「ストレスが溜まるとお腹に影響し、お腹の不調が新たなストレスになる」という悪循環が起きてしまいます。
このような悪循環を断ち切るためには、一つのアプローチではなく、複数の治療方法を組み合わせることが効果的です。
主な治療アプローチ

過敏性腸症候群の治療では、生活習慣の見直しから薬の使用まで、幅広く組み合わせます。
大切なのは「とりあえず整腸剤を飲むだけ」で終わらせず、多角的に対処することです。
患者さんの症状のパターンや生活に合わせて、オーダーメイドの対策を一緒に考えていきます。
🔸なんとなく続くお腹の不調、放置しないで
過敏性腸症候群は命に関わる病気ではありませんが、毎日の生活の質(QOL)を大きく下げてしまう病気です。
レッドフラッグがある方はもちろん「ずっと気になっているけど、ちゃんと診てもらったことがない」という方は、ぜひ一度検査を受けてみませんか?
リベ大総合クリニック大阪院では、血液検査や便検査、胃カメラや大腸カメラにも対応しています。
土曜日や一部の日曜・祝日も検査を行っているため、平日の受診が難しい方も、お休みの時間を使って検査ができます。
お腹の不調から解放されて、ご機嫌な毎日を取り戻しましょう。
このコラムが少しでも参考になれればうれしいです。
では、次回のコラムもお楽しみに!
【参考文献】
日本消化器病学会.機能性消化管疾患診療ガイドライン2020-過敏性腸症候群(IBS)(改訂第2版
日本大腸肛門病学会.過敏性腸症候群について
Lacy BE, Mearin F, Chang L, Lembo AJ, Simrén M, Spiller R, et al. Bowel Disorders. Gastroenterology. 2016;150(6):1393–1407.e5.