健康コラム

公開日

2026.8.28

更新日

2026.8.27

予防接種

9価HPVワクチンで何が防げる?効果と副反応を医師が解説 

リビングのダイニングテーブルで向かい合い、白いセーターの母親と学生服姿の娘が真剣な表情で話をしている画像

こんにちは!リベ大総合クリニック大阪院 院長の大岩です。

🌀 HPVワクチンを娘に打たせたいけれど、ニュースで見た副反応のことが心配

🌀 ワクチンの効果があるとは聞いたけれど、どの程度効くのかはわからない


副反応が心配で迷うお気持ちは、よくわかります。

そのうえで私は、定期接種の対象となる方で、医学的に接種を見合わせる理由がない場合には、HPVワクチンの接種を基本的におすすめしています。


なぜおすすめするのか、そして副反応についてどこまでわかっているのか。今回はワクチンの効果とリスクをできるだけわかりやすくお伝えします。


このコラムをご覧になり、接種について考える材料にしていただければうれしいです。

🔸 HPVとは?「子宮頸がんだけ」のウイルスではありません

HPV(ヒトパピローマウイルス)は、子宮頸がんの原因ウイルスとして知られていますが、以下のような病気の原因にもなります。


  • 中咽頭がん(のどの奥のがん)

  • 肛門がん

  • 性器にできるイボ(尖圭コンジローマ) など


男女どちらにも関係するウイルスです


また、HPVは、性的な接触があれば誰でも感染する可能性がある、身近なウイルスです。でも、感染しても、多くは免疫によって、自然に体からいなくなります。

ただ、排除されずに感染が長く続くと、病気の原因になるため注意が必要です。

「HPVが関わる病気」と題された、中央にHPVウイルスのイラストを置き、そこから子宮頸がん・中咽頭がん・尖圭コンジローマ・肛門がんの4疾患を放射状に示し、「多くは免疫で排除される」と添えた図解

🔸 9価HPVワクチンとは?防げるHPVの型としくみ

HPVワクチンの効果と種類

HPVワクチンは、HPVの感染を防ぐことで、子宮頸がんなどの病気を予防するワクチンです。


すでにある感染や病気を治すものではなく、これから先の感染を防ぐために接種します

研究でも、HPVに感染する前の接種で、最も高い予防効果が期待できると報告されています。


感染を防げる型の数によって2価・4価・9価ワクチンがあり、9価は4価で防げる型に5種類の型を加えたワクチンです

「ワクチンが対象とするHPV型」と題された、2価(16型・18型)・4価(+6型・11型)・9価(+31・33・45・52・58型)の対象範囲を入れ子構造で示し、「日本人女性の子宮頸がんの8〜9割は色をつけた7つの型が原因」と添えた図解

9価HPVワクチンの特徴

2026年4月から、定期接種で使用するHPVワクチンは9価HPVワクチンのみになりました


HPVは200種類以上の型が存在し、そのうち少なくとも15種類が子宮頸がんの原因になることがわかっています。

9価HPVワクチンは9種類の型に対応し、子宮頸がんを起こしやすい16型・18型を含みます


厚生労働省でも、9価ワクチンは、子宮頸がんの原因の80〜90%を占める7種類のHPV型の感染を予防するとされています。

9価と4価の比較について、接種前に該当するHPV型に感染していなかった16〜26歳女性では、9価で新たに追加された5型に関連する高度な前がん病変などが、4価ワクチンと比べて約97%少ない結果でした。

つまり、4価では防ぎきれなかった型のぶん、守備範囲が広がるということです。


一方で、9価でも防げない型は残ります。接種後も定期的な検診が必要なのはこのためです。

🔸 HPVワクチン全体では、子宮頸がんが減ったデータも

9価より先に使われていた2価・4価ワクチンでは、子宮頸がんそのものが減ったことを示す長期データが出ています。

イギリスでは、12〜13歳でHPVワクチンの定期接種を受けられる制度の対象となった世代で、子宮頸がんの発生が約84%、高度な前がん病変が約94%少なかったと報告されています。

また、スウェーデンの2026年の研究では、最大18年の追跡で、17歳未満に4価ワクチンを接種した人の子宮頸がんリスクは、未接種者より低い状態が長く続いていました。

ただし、これらの研究はいずれも以前の2価・4価ワクチンでの結果になります。

9価の研究では前がん病変をみており、がんそのもののデータが揃うのはこれからです。


9価ワクチンそのものの長期データは、今後さらに蓄積されていく段階です。

一方、HPVワクチン全体では、感染や前がん病変だけでなく、子宮頸がんそのものを減らす効果も確認されてきています


こうした予防効果と、現在までに確認されている安全性の評価を踏まえ、私は定期接種の対象となる方にはHPVワクチンの接種をおすすめしています。

🔸 9価HPVワクチンの副反応は?よくあるものとまれなもの

よくある副反応

接種した部位の反応が中心で、頻度は次のとおりです。


  • 痛み:10人中およそ9人

  • 腫れ:10人中およそ4人

  • 赤み:10人中およそ3人

頻度不明の重大な副反応

添付文書には次の反応が記載されていますが、いずれも頻度は不明です。


  • アナフィラキシー

  • ギラン・バレー症候群

  • 免疫性血小板減少症

  • ADEM(急性散在性脳脊髄炎)


9価以外のHPVワクチンも含めた39件の臨床試験(約9万7千人)の解析では、重篤な有害事象が起こる割合に、ワクチン接種群と対照群で明らかな差は認められませんでした。


また、HPVワクチン接種後には、広い範囲の痛みや手足の動かしにくさ、倦怠感などの「多様な症状」が報告されています。症状そのものを否定するべきではありません。

一方、現在までの研究では、HPVワクチンとの因果関係を示すエビデンスは得られていません。


名古屋市の調査や全国疫学調査では、同様の症状はHPVワクチンを接種していない人にもみられることが確認されています。

当院のワクチンに対する考え方

接種後につらい症状が出た方の訴えを「ワクチンとは関係ない」と切り捨てるべきではありません。一方で、症状の原因をすべてワクチンと決めつけることも適切ではありません。


  • つらい症状がある方には、必要な診療や支援につなげる

  • 現在までの研究では、多様な症状とHPVワクチンとの因果関係を示すエビデンスは得られていない


この両方をお伝えするのが、誠実な向き合い方だと考えています。

医師にワクチンの説明を受ける親子の図「副反応があった場合は、必要な医療を… 副反応とワクチンとの関係性は…」と案内している。

接種に関して不安なことがあれば、診察に合わせてご説明いたしますので、お気軽にご相談ください。


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接種当日に気をつけること

注射の痛みや緊張で立ちくらみが起こることがあるため、当院でも接種後30分ほどは座って過ごしていただきます。


気になる症状が出たときは、まず接種した医療機関などにご相談ください。

症状が続く場合は、各都道府県に選定されている協力医療機関への紹介も行っています。

🔸 まとめ|HPVワクチン接種の判断材料に

9価HPVワクチンは、子宮頸がんなどに関係するHPV型への感染を予防するワクチンです。

厚生労働省は、HPVワクチンを1万人が接種した場合、受けなければ子宮頸がんになっていた約70人が発症せず、約20人の死亡を防げると試算しています。

一方で、HPVワクチンには、接種部位の痛みなどの副反応が起きることは報告されています。頻度は明らかではないものの、重大な副反応が報告されているのも事実です。


これらを総合的に踏まえて、私の意見としては、定期接種の対象となる方で、医学的に接種を見合わせる理由がない場合には、接種をご検討いただきたいと考えています。


もちろん、副反応への不安を抱えたまま、無理に接種する必要はありません。


🌀 娘に受けさせたほうがいい?

🌀 副反応がやっぱり心配


と迷っている段階でも、お気軽にご相談ください。

効果とリスクを一緒に確認しながら考えていきましょう。


では、次回のコラムもお楽しみに!


【参考文献】

  1. Bergman H, et al. Human papillomavirus (HPV) vaccination for the prevention of cervical cancer and other HPV-related diseases: a network meta-analysis. Cochrane Database of Systematic Reviews. 2025.

  2. Falcaro M, et al. Effect of the HPV vaccination programme on incidence of cervical cancer and grade 3 cervical intraepithelial neoplasia by socioeconomic deprivation in England: population based observational study. BMJ. 2024.

  3. Harder T, et al. Efficacy, effectiveness and safety of vaccination against human papillomavirus in males: a systematic review. BMC Medicine. 2018.

  4. Joura EA, et al. A 9-valent HPV vaccine against infection and intraepithelial neoplasia in women. New England Journal of Medicine. 2015.

  5. Medeiros R, et al. Prevention of Human Papillomavirus Infection. Beyond Cervical Cancer: A Brief Review. Acta Médica Portuguesa. 2020.

  6. Suzuki S, Hosono A. No association between HPV vaccine and reported post-vaccination symptoms in Japanese young women: Results of the Nagoya study. Papillomavirus Research. 2018.

  7. Wu S, et al. Extended follow-up of invasive cervical cancer risk after quadrivalent HPV vaccination: nationwide, register based study. BMJ. 2026.

  8. 厚生労働省. HPVワクチンリーフレット(詳細版). 2024年2月改訂版.

  9. 厚生労働省. HPVワクチンに関するQ&A. 2026年3月25日更新.

  10. 厚生労働省. ヒトパピローマウイルス感染症の予防接種後に生じた症状の診療に係る協力医療機関について.

  11. 医薬品医療機器総合機構. シルガード9水性懸濁筋注シリンジ 添付文書. 2026年2月改訂(第4版).

  12. 国立がん研究センター. 子宮頸がんとその他のHPV関連がんの予防.

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